「すべきことに向き合ってほしい」 酒田光陵(山形)は選手それぞれを信じて再開待つ
酒田光陵の練習の様子 ※写真は2019年6月より
「練習ができないことに不安はありますし、仮にできたとしても感染する可能性はありますので、どちらも不安があります」
2年前の夏の山形大会ではベスト8まで勝ち進んだ酒田光陵で部長を務める布施良介先生が電話取材で語ったコメントだ。チームは4月4日から活動を自粛しており、活動再開を5月14日を予定している。しかし今回の緊急事態宣言の延長を受けて、連休明けにも状況が変わる恐れがあることを示唆した。
酒田光陵は4月に入学式こそできたが、参加する教員を限定して行い、入学式が終わってからもすぐに下校。新入生が何人入部するのか。どんな選手がいるのかも把握ができていない。道具に関しても何もできておらず、「夏までにそろえるのは少し難しいと思います」と厳しい状況であることは間違いない。
1年生とは全くコミュニケーションが取れない状況だが、2、3年生たちとはGoogle社が運営するClassroomを活用してコミュニケーションを取りながら再開の日を待っている。
「4月に1度登校する日がありましたが、すぐに下校をしないといけなかったので何も話はできていません。ですので、Classroomを活用して選手に向けて情報発信はしております」
酒田光陵では昨年の10月から連絡事項を伝えるために、Classroomを運用。使う頻度は現在ほどではなかったが、選手と指導者がグラウンド以外でも繋がる環境は整っていた。そのため、今回の事態を受けてもスムーズに対応をすることができた。ただ、選手に向けて細かく指示を出すわけではない。不安であれば出したくなるところだが、その理由を布施先生はこのように語る。
「メリット、デメリットともにあると思いますが、細かな指示まで出すと、選手の中では与えられたことだけでやったつもりになってしまうと思うんです。けど自分のすべきことに向き合ってほしいというのもありますので、あまり細かくは指示を出さずに選手たちの自主性に任せております」
選手たちの自主性に任せた指導で再開の日を待つ酒田光陵。中には素振りの様子を動画で撮影したものを監督に送り、指導を仰いでいる選手もいるとのこと。選手の中でも考えて動く姿勢が少しずつできつつあるようだ。
先行き見えない中だが、出来ることを少しずつやっていく。その積み重ねが夏に繋がることを祈って待つしかない。
(取材=田中 裕毅)
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