錦城学園は台風被害から復活したグラウンド写メでモチベーション維持
錦城学園・玉木信雄監督 ※写真は昨年秋季大会立教池袋戦より
学校では生活指導部長という役割も担っている錦城学園の玉木信雄監督。そんな校務もあるので、休校が続く中でも、学校長や教頭、副校長らとのコロナ対策会議などで学校へ出ることも比較的あるのだという。
もちろん、部活動は自粛であり、生徒は全く学校へ姿を見せていない。ことに、都心のど真ん中ともいえる神保町に学校があるので、登校の際には地下鉄に乗らざるを得ない。そんなことで密を避けるためにも、登校はしないようにということである。
錦城学園のグラウンドそのものは荒川の河川敷にあるのだが、昨秋の台風で完全に水没してしまい、昨秋はほとんど瓦礫を片づけたり水抜きしたり整備するだけという修復作業に追われていたという。そして、台風被害からの修復がようやく終わったというところで、今回のコロナ被害での練習自粛。今のチームの選手たちは、自分たちのグラウンドでの練習そのものがあまりできていないということになる。
そんな選手たちに向けて、玉木監督はグラウンドまで出向いてそれを写メに撮ってLINEなどで選手たちに送っていることもある。修復されたグラウンドを見せることで、選手たちの野球へのモチベーション維持の意識を高める要素の一つとしている。
LINEグループでは、野球部として作っていて主に健康確認などを行っているという。そして、仲間同士で意識を確認しあっていきながら気持ちを切らさないようにということは心がけている。
「この代の子たちは、本当に可哀想です。それだけに、何とか3年生には試合をさせてあげたいという思いは日ごとに募っています。本来ならば、今頃は静岡遠征で御殿場西とか、津田学園とかの強豪の胸を借りての力試しをやって、一番力がついていく時期なんですけれどもね。秋の段階でも、満足に練習が出来ていないという状態だったのが、それでも冬のトレーニングを頑張って積んできて、『よし、これからだ』という気持ちになったところでこれですからね」
電話の向こうで、残念そうに語っていた。
東京都高野連の役員でもある玉木監督は、今春からは駒沢球場担当の球場主任という役割も担うことになっていたという。
「都営の[stadium]駒沢球場[/stadium]は5月6日までは貸出禁止ということなんですけれども、それも伸びそうですね。今の緊急事態では、どこも球場が使えません。だけど最悪、甲子園大会がなくなったとしても、東京都の中だけでも大会は行えないかと、選手たちのやってきたことを評価される場だけは与えてあげたいとは思っています。そのために、球場の手配も可能な限りやっていかないといけないという気持ちもあります」
と、頭を悩ませている。東京都の高野連としては5月の12日に一度会議があり、日本高野連の決定をどう受け止めていくのかという対策も練っていくことになる。
陸上部が強豪で、インターハイにも何人かが出場を果たし、冬の都大路の高校駅伝にも出場を果たしている錦城学園。陸上競技で上(大学など)へ進みたいという生徒はどうしてもタイムが必要になってくるのだが、大会がないことでそのタイムを提示出来ないのは辛いという。それでも、長距離の選手などは、河川敷などを走りながら、そのフォームチェックなどをしながら指導者と連絡を取っているようだ。
これはあくまで、学校での判断というよりも個人的な判断だということを前提としながら、玉木監督はこう述べている。
「学校長も比較的運動部活動には理解があって、外でやる部活動は、少しずつでも解除していっても影響はないんじゃないかと言ってくれているんですけれどもね。今のところは要請に従っておかざるを得ないというところですね」
そして、都高野連役員という立場からは、やはり何とか3年生に試合の場を与えてあげたい、そのためにはギリギリまで可能性を求めていきたいという思いである。
「オリンピック延期になったことで、[stadium]神宮球場[/stadium]が何となく使えそうなんですよ。8月になって、1日に5試合組んでもいいから、3年生に背番号をつけて試合をする場所は何とか与えてあげたいと思っています」
記事:手束 仁
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