勝負の夏を開催されることを願って…。埼玉の新星・浦和麗明(埼玉)の熱い想い
浦和麗明の練習の模様(※写真は2019年夏から)
最後の夏は3年生にとって野球人生をかけた勝負だ。
その中に学校の今後の命運をかけて勝負をかしているチームがある。それが創部3年目を迎える浦和麗明だ。
チームを率いる佐藤隼人監督は国学院大出身で、東京成徳大深谷 (現在廃部)、叡明でコーチ・部長を歴任した経歴があり、他校で監督、コーチを経験しているスタッフたちと共にチームを立ち上げた。麻生凛と澤野想太の左右のWエースを擁し、各野手の成長も著しく、2020年はまさに勝負の年だったが、活動自粛を余儀なくされている。
4月7日にあった始業式を最後にチームは集まっていない。チームの指揮を執る佐藤監督に電話で話を聞くと、「不安と期待の両面があります」と今の気持ちを語った。
「集まったときは選手たちも『この先どうなるのか』不安の顔をしていました。また高校総体の中止も決まって選手の中では、『難しいんじゃないか』と考えてしまう選手もいると思うんです。ですので、これからは選手たちとコミュニケーションをこまめに取りながらモチベーションを維持できるようにしたいと思います」
浦和麗明ではグループLINEはあったが、4月中は使うことなく過ごしてきた。それは普段から選手それぞれが今すべきことを考え、練習をしていくスタイルがあるから。冬場は紅白戦を中心に組み、打者は60打席、投手は40イニングを目安に実戦を経験させた。そこで見つかった課題を克服するための1か月として4月を位置付け、自粛期間を過ごしてきた。
しかし状況が変わり、休校が5月いっぱいまでとなったことで、佐藤監督はコミュニケーションを取っていくことを決意。夏に向けて最後の調整を進める予定だ。冒頭で説明したように浦和麗明は一期生である3年生40名の最後の夏。それだけに佐藤監督にとっても集大成の夏であり、この大会にかける想いは強い。
「1年生の時に比べると格段にレベルアップしました。今年の冬も厳しい練習をやって心身ともにタフになりましたし、選手たちの成長ぶりには驚いています。だからこそ、社会情勢が許すのであれば、これまでの努力の証を見てもらえるチャンスが欲しいと率直に思います。規定により1年生の春と夏、そしてコロナの影響により3年生の春と大会に出られなかったので、そのモチベーションを夏に繋げたいです。」
二人三脚で駆け抜けた3年間の成果を発揮する舞台となる夏の大会。強く祈るしかない。
(取材=田中 裕毅)
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