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投打で圧倒的な実績の大谷翔平(花巻東出身)!田中正義(創価出身)ら7人の大卒組は奮起に期待 94年世代ドラ1の現在地

2020.04.24

 野球の世界には「松坂世代」を始め、有力選手が集まった世代を「〇〇世代」と形容する流れがある。毎年12名のドラフト1位が生まれるので、平均すれば各世代に12名のドラ1がいることになるのだが、多い世代、少ない世代というのが出てくる。そこで世代別にドラフト1位を集計し、その現在地を見ていきたい。今回は高卒8年目、26歳を迎える94年世代だ。

復活が待たれる藤浪晋太郎

投打で圧倒的な実績の大谷翔平(花巻東出身)!田中正義(創価出身)ら7人の大卒組は奮起に期待 94年世代ドラ1の現在地 | 高校野球ドットコム
田中正義、大谷翔平、藤浪晋太郎

 94年世代でドラフト1位指名を受けたのは、高卒4人、大卒7人、大卒社会人1人の計12人。彼らの主な通算成績は以下の通り。

<2012年ドラフト>
藤浪晋太郎大阪桐蔭・阪神) 4球団競合
128試合 50勝40敗 803回 809奪三振 防御率3.25

森雄大東福岡・東北楽天) 2球団競合
28試合 3勝6敗 90.1回 65奪三振 防御率4.58

大谷翔平花巻東・北海道日本ハム) 単独指名
NPB打撃 403試合 48本塁打 166打点 打率.286
NPB投手 85試合 42勝15敗 543回 624奪三振 防御率2.52
MLB打撃 210試合 40本塁打 123打点 打率.286
MLB投手 10試合 4勝2敗 51.2回 63奪三振 防御率3.31

高橋大樹龍谷大平安・広島東洋) 外れ外れ1位
35試合 1本塁打 3打点 打率.266

<2016年ドラフト>
田中正義創価創価大・福岡ソフトバンク) 5球団競合
11試合 0勝1敗 14.1回 15奪三振 防御率8.16

柳裕也横浜明治大・中日) 2球団競合
47試合 14勝16敗 274.1回 233奪三振 防御率4.04

大山悠輔つくば秀英白鴎大・阪神) 単独指名
335試合 32本塁打 162打点 打率.259

佐々木千隼都立日野桜美林大・千葉ロッテ) 外れ1位・5球団競合
22試合 6勝8敗 117.1回 81奪三振 防御率3.76

吉川尚輝中京・中京学院大・読売) 外れ外れ1位
108試合 4本塁打 32打点 打率.269

濱口遥大三養基・神奈川大・横浜DeNA) 外れ外れ1位
58試合 20勝16敗 300.2回 318奪三振 防御率3.56

矢崎拓也慶應義塾慶應義塾大・広島東洋) 外れ外れ1位
12試合 1勝3敗 37.1回 39奪三振 防御率4.58

<2018年ドラフト>
近本光司(社・関西学院大・大阪ガス・阪神) 外れ外れ1位
142試合 9本塁打 42打点 36盗塁 打率.271

 大卒社会人の選手たちがプロ入りし、1年目を終えた94年世代の選手たち。

 高卒でプロ入りした4人は、ハッキリと明暗が分かれている。何といっても、大谷翔平の日米での活躍は目を見張るものがある。ドラ1に限らずとも、同世代で投打の両方において大谷を超える実績を残している選手は数少ない。その大谷を超える勝ち星を挙げているのが藤浪晋太郎だ。ここ数年は苦しんでいる藤浪だが、通算50勝は立派な数字と言える。今季は復活を果たし、またあの剛速球が観られるのを楽しみにしたい。

 一方、高橋大樹森雄大は苦しんでいる。高橋は昨季自己最多27試合に出場し、初本塁打も放つなどようやく一軍での出場が増えてきた。26歳を迎える今季、ブレイクなるか。プロ入り7年間で3勝に終わっている森は、故障の影響もあり昨オフに戦力外通告を受け、育成契約となった。今季中の支配下契約復帰を目指す。

 この世代は大卒の評価が高かった世代でもある。2016年ドラフトでは1位指名の1巡目で8球団が大卒選手を指名した。外れ1位でも佐々木千隼に5球団が競合した。しかし、プロ入り後は苦しんでいる選手も多い。大学No.1投手としてプロ入りした田中正義は通算11試合、未勝利だ。佐々木千隼も1年目こそ4勝を挙げたが、以降は苦戦している。プロ初登板で9回一死までノーヒットノーランと衝撃の投球を見せた矢崎拓也(当時は加藤)は、その1勝のみに止まり一軍にも定着できずにいる。吉川尚輝は2年目こそ92試合に出場したが、昨季は11試合に止まった。

 外れ外れ1位でのプロ入りとなった濱口遥大は、1年目から二桁勝利を達成した。ローテーションに定着できているとは言えないが、コンスタントに一軍登板を続け、勝利も積み上げている。2年目までは苦しんだ柳裕也は、昨季ブレイクを果たし11勝。今季もエース級の活躍が期待される。大山悠輔も3年目にしてレギュラーに定着。シーズン終盤には四番にも座るなど、阪神待望の和製大砲へと成長を続けている。

 唯一の大卒社会人としてドラ1指名を受けた近本光司。1年目からレギュラーに定着し、盗塁王と新人特別賞を受賞し、一躍世代トップクラスへと駆け上がった。今季は2年目のジンクスをはじき返し、不動の地位を手にしたい。

 高卒7年目を終え、その地位を確立した者から戦力外を受けた選手まで出てきた94年世代。大谷に追随する選手たちが出てくることを期待して、これからも見守っていきたい。

記事:林龍也

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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