命を大切にした行動を。岩国商はSNSを駆使しつつ、反省と改善を繰り返す
新型コロナウイルスの猛威が止まらず全国に向けて緊急事態宣言が出された。ほとんどの学校で活動の自粛が行われ、球児たちが自宅待機を余儀なくされている。それは、山口県・岩国商も含まれる。
過去に甲子園に出場した経験がある岩国商は3月2日から4月8日まで活動が自粛。新年度が始まり練習を再開させたが、コロナウイルスの感染拡大を受けて15日から再び学校が休校。これに合わせて部活動も活動自粛となり、活動再開は5月7日を予定している。
何とか練習を再開させた岩国商だが、チームの指揮を執る中内博和監督は疑問を抱いていた。
「『まずい』と思いました。練習だけでなく、授業の合間の休憩時間、練習前後の着替えや帰り道などで三密を防ぐことができていないと感じました。大人数での全体練習を見直し、次週から学年やポジションごとに班を分けた練習を考えていました」
その後、岩国商は休校・練習自粛に。現在は命を最優先し日々を過ごす岩国商。しかし夏は待ってくれない。トレーナーから与えられる動画付きのトレーニングメニューをキャプテンやリーダーを中心に共有。
それに加えランニングメニューなどを選手同士で決め、個人で取り組むことのできる練習メニューを選手間でSNSを利用して共有している。技術練習については、個人個人が考えてそれぞれで取り組み、練習日誌をグループごとにチェックする。その後リーダーを中心に情報を共有し、週ごとに反省、改善を繰り返しながら取り組んでいる。
同時に選手たちには練習以外にもやるべきことを伝えている。
「練習以外に毎日のニュースは、必ず見るように伝えています。世の中の動きに興味関心を持ち、正しい判断ができるようにするためです」
そのうえで中内監督は選手たちに目標の明確化の重要性を伝える。
「3年生たちの甲子園がなくならないことを願っています。しかし、今は現実を受け止め、命を最優先し、目の前のできることに全力を尽くして欲しいと思っています。また、『常に最悪の状況は想定しておき、それを受け止める心構えはしておこう』と選手たちには伝えています。そのためには、甲子園の先にある個人個人の目標を明確にしようと投げかけています」
最低限のルールの中で、SNS等を利用しながら連携をはかり、リーダーを中心とした組織化の下で主体性を育んでいる岩国商。夏を目指して準備を進めている中で、覚悟を固めていた中内監督。焦る気持ちがあるかもしれないが、命を大切に我慢することが夏の大会開催への第一歩になるはずだ。
記事:田中 裕毅
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