選手たちの健康を最優先に。秋4強・未来富山が過ごす、先行きが見えない3度目の春
未来富山の寮生活の模様 ※写真提供=未来富山野球部
非常事態宣言も発令され、日本中が今までにない状況となっている。高校野球界でも次々と春季大会の中止が発表され、学校によっては選手たちの健康を優先して練習が中止せざるを得ないのが現状となっている。
その中でも出来る範囲で練習をしている学校もある。そのうちの1つのが、昨秋の県大会でベスト4に入り、創部3年目で躍進を遂げる未来富山。練習は現状ではできているが、あくまで選手たちの健康を第一にしたうえで、県内の公立、私立校の練習状況を見ながら判断しての練習である。
しかし現状が判断が難しいことを監督である仲里雄樹先生は語る。
「4月から練習試合もできるようになって2カードほどやりましたが、再び活動自粛になる可能性もありますので何とも言えない状況です」
3月の間は学校は休校となり、活動も自主練習という形をとった。寮を持っている未来富山だが、「公共交通機関を使うこと、そして実家に戻すことで感染する可能性もあって危ない」と考えて、学校と相談をしたうえで寮生活も継続。しかし外部との接触を避けるべく外出を禁じ、自主練習も手洗いや検温を徹底するなど細心の注意を払って3月を過ごした。
ただ現在は先行きが見えない日々だったことに加えて、春の大会も中止となったことで、目標やモチベーションを上げにくさを痛感している。「100%割り切れているかといえば、なかなか難しい」状況だが、方向性だけ示しながら夏の大会に向かって動き出している。
しかし練習試合をやれたことで、一冬超えて成長した選手たちの姿を見ることができた。「すごく楽しみだ」と仲里監督が手ごたえを感じたが、未来富山ではオフシーズン中に甲子園を意識した練習を取り組んできた。
「春と夏で8強、そして秋は4強と順調に来ていますが、北信越で勝つようなチームと比較するとパワーとスピードが足りなかったです。ですので、トレーニングで磨いていくことで甲子園レベルにふさわしい選手になることを目指しました」
ベンチプレスなどのウエイトトレーニングだけではなく、サーキットトレーニングなどプレーに繋がるトレーニングを徹底的に取り組んだ。その成果としてチーム平均で体重が5キロ増え、筋力も20%増加した。何より「筋力が増えても動きは良かった」と、パワーとスピードの両立を成功させて手ごたえを感じていた。
その中でも新3年生となる森岡航大朗、深澤悠真の2人が急成長。レギュラーだった2人がチームを牽引することができるか注目される。
残り3か月間でチームの底上げを図り、選手全員のレベルアップを狙う未来富山。しかし今は選手たちの健康を最優先に。「ウチだけやる状況はないので、周りの学校を見ながら足並みをそろえていきたい」と仲里監督は語る。一刻も速く終息し、未来富山に再び日常が返ってくることを願うばかりだ。
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