楽天・松井裕樹にかかる田中以来の生え抜き高卒投手の2ケタ勝利
松井裕樹(楽天ゴールデンイーグルス)
今シーズンの楽天は守護神だった松井裕樹(桐光学園高/2013年1位)を先発投手へと再転向させる。松井は昨シーズン最多セーブのタイトルも獲得しており、球界でも屈指の存在であることは周知の事実だろう。
能力的にはなんの不安もない。スタミナ面や投球術など、抑えと異なる部分をいかに対応できるかが鍵となってくる。そして迎えたオープン戦では打球直撃による緊急降板のアクシデントもあり、4試合で防御率7.00と結果を残すことができなかった。
その後に行われた3月21日のオリックス戦(練習試合)でも、4回3失点、被安打4、与四球3(82球)といまひとつ。まだまだ現時点では万全な状態とは言い難い。4月24日以降へと開幕がずれ込んだことで、どれだけ調子を上げることができるかが注目される。
さて、楽天で高卒出身の投手といえば田中将大(現ヤンキース/駒大苫小牧高/2007年高校生1巡)がいる。田中は1年目から2ケタ勝利を挙げ、在籍7年間で99勝(35敗)という圧倒的な成績を残した。
しかし、田中をのぞくと生え抜きの高卒投手で2ケタ勝利に到達した選手はひとりもいない。規定投球回に到達したのも2014年の辛島航(飯塚高/2008年6位)ただひとりだけ。
球団の歴史が浅いとはいえ、リーグ加入からすでに15年以上が経過している。田中とまでは言わなくとも、2ケタ勝利到達者の誕生が待ち望まれている。
楽天のドラフトを振り返ってみると、田中以降に上位で高卒の投手を指名してきていないわけではない。
これまで松井以外では釜田佳直(金沢高/2011年2位)や森雄大(東福岡高/2012年1位)、安樂智大(済美高/2014年1位)、藤平尚真(横浜高/2016年1位)と上位で高校生の投手を指名してきた。
しかし、現時点で先発投手として開花した存在はいない。藤平は今年が4年目ということもあるが、松井以外の投手たちはドラフト時の期待からするとかなり物足りない結果に終わっている。
今年こそ彼らの巻き返し、そして松井に田中以来となる2ケタ勝利を期待したい。則本昂大や故障で離脱しているものの岸孝之、そして沢村賞の実績がある涌井秀章らに肩を並べるような活躍ができれば優勝もぐっと近づくはずだ。
文=勝田聡