News

神宮大会王者の慶応義塾大に訪問!単純な練習からでも見えた意識の高さ

2020.03.21

 昨秋、19年ぶり4度目の明治神宮大会優勝を果たした慶應大。堀井哲也監督が就任した後も、オープン戦では勝ち星を重ね、圧倒的な戦力層を誇っている。

 まず投手では154キロ右腕・木澤尚文(慶応義塾出身)、151キロ左腕・佐藤宏樹大館鳳鳴出身)、146キロ右腕・関根智輝都立城東出身)の4年生投手を中心にハイレベルな投手が揃う。

 打線では新たに4番に座った正木智也(3年・慶應義塾)はオープン戦でも本塁打を連発するなど好調をキープ。そして2年間、対応力に課題を抱えていた若林将平(3年・履正社)もクリーンナップを務めるまでに成長し、堀井監督からの期待も高い。

 そのほかでは瀬戸西純(4年・慶應義塾)、嶋田翔(4年・樹徳)、渡部 遼人(3年・桐光学園)など昨年からの主力選手も順調に成長を見せており、攻守にスキがないチームとなった。

 その練習を見ると、とても意識の高さが伝わってくるものだった。投手は実戦を想定し、投球練習と同じ投球フォームで投げ、変化球を交えたり、牽制の練習を繰り返す。野手では、ティーもスタンドティーを使うときは低め、真ん中などコースを変えたり、片手でのティー、座ってからのティー打撃など多くの種類をこなしてのティー打撃があり、抽象的な練習はほとんどなかった。

 そしてフリー打撃では、投手に変化球を要求したりするミックス打撃。主将の瀬戸西は左投手相手に変化球を投げさせて、ミート感覚を確かめていた。

神宮大会王者の慶応義塾大に訪問!単純な練習からでも見えた意識の高さ | 高校野球ドットコム
キャッチボールだけでも高い意識が見えてきた

 投手、野手もベストパフォーマンスを発揮するために、自分の感覚をどうすり合わせていくのか、それが透けて見える。練習、取材対象者の取材が終わり、瀬戸西の自主練習を見させていただいたが、非常に考えられたものだった。瀬戸西は、守備上達のために壁当てを行う。瀬戸西の守備理論については本人のインタビューで詳しく紹介したいと思うが、この壁当てのポイントは、捕球から送球までの一連の動作を丁寧に行うことだ。

 1つ1つの動きを丁寧に行うことで、次の動作に移行しやすく、結果的に速い打球にも対応がしやすく、エラーが少なくなる。これは瀬戸西が大学野球のレベルの高さを痛感し、守備で苦労。そこから試行錯誤して辿りついた理論だけに、非常に説得力があった。

 瀬戸西を含め、主力選手に自身の取り組み内容、課題を聞くと、スラスラと答えてくれる。慶応にはどんな選手が求められるのか。瀬戸西に答えていただいた。
「まず課題を見つける能力が必要だと思います。自分の課題については監督から言っていただくこともありますし、選手同士で課題を指摘しあう。(慶応)はそういうチームだと思っています。自分の課題がないという選手は絶対に課題は見つからないですし、成長できないと思いますので、成長できるためには何が必要なのかを考えることが第一歩だと思います」

 瀬戸西だけではなく、佐藤、関根、木澤も課題を共有しあう仲間たちこそ成長の大きなきっかけになったと振り返る。その積み重ねが強力なチームを作り上げてきたのだ。

 狙うはリーグ連覇。投打ともに100%の状態に仕上げ、他の5大学を圧倒する戦いを見せていく。

(文=河嶋 宗一

関連記事
ドラフト候補集団・慶応大。今年は木澤、関根、佐藤、瀬戸西の4人に注目
オープン戦好調だった大卒ルーキーは?森下、郡司、宇草らの東京六大学、大学日本代表勢が一歩リード
慶應義塾大学野球部 大久保秀昭監督の捕手論「強さも上手さも『知る』ことから」【Vol.1】

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.22

【埼玉】花咲徳栄は伊奈学園と、昌平は正智深谷と初戦で対戦<春季県大会組み合わせ>

2024.04.23

【春季埼玉県大会】地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】日本福祉大附が4点差をはね返して中部大一に逆転勝ち、ベスト8に進出

2024.04.22

【九州】神村学園、明豊のセンバツ組が勝利、佐賀北は春日に競り勝つ<春季地区大会>

2024.04.17

仙台育英に”強気の”完投勝利したサウスポーに強力ライバル現る! 「心の緩みがあった」秋の悔しさでチーム内競争激化!【野球部訪問・東陵編②】

2024.04.21

【神奈川春季大会】慶応義塾が快勝でベスト8入り! 敗れた川崎総合科学も創部初シード権獲得で実りのある春に

2024.04.22

【埼玉】花咲徳栄は伊奈学園と、昌平は正智深谷と初戦で対戦<春季県大会組み合わせ>

2024.04.23

【春季埼玉県大会】地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.09

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!