7割が軟式出身?!過去5年間の開幕投手から見た軟式・硬式の比率
軟式出身の菅野智之(東海大相模出身)
4月中の開幕を目指すことが発表されたプロ野球。各チームの開幕投手の話題も多く上がるようになっていたが、いったん仕切り直しとなってしまった恰好だ。しかし、我々ファンにとって開幕が待ち遠しいのは変わらない。お楽しみは少し先にお預けとなってしまったが、せっかくなので開幕にまつわるデータを見ていこう。
今回は過去5年分の12球団の開幕投手を調査し、その中学時代に注目。すると、意外とも言える数字が浮かび上がってきた。
2015~2019年の5年間、計37名の投手が60回開幕投手を務めてきた。その顔触れには菅野智之(東海大相模出身/巨人)、則本昂大(八幡商出身/楽天)、菊池雄星(花巻東出身/現マリナーズ)など、各チームのエースたちが並ぶ。彼らの中学時代の所属チームを軟式(野球部、クラブチーム)・硬式(シニア、ボーイズ、ヤングなど)別で見た結果が下記だ。
37名・60回のうち、軟式出身が21名・32回、硬式出身が9名・16回、外国人投手が6名・11回という結果になった。全体での軟式出身者の割合は59%(人数)・55%(回数)と過半数を超えており、さらに外国人投手を除いた日本人投手のみで見ていくと、71%(人数)・67%(回数)と、その傾向は顕著になっている。
中学の段階では硬式チームの方がハイレベルな野球が行われているという認識が一般的だが、このこと自体に間違いはないだろう。高校の強豪チームで1年生から活躍する選手は、硬式出身者が多い。
しかし長い目で見た場合、特に投手の場合は、軟式出身者が硬式出身者を上回るケースが多いことも事実だ。昨年秋のプレミア12で、世界一に輝いた侍ジャパン日本代表の投手陣では、13名中9名が軟式出身だった。
昨年の高校野球では、仙台育英の笹倉世凪、伊藤樹や、田村俊介(愛工大名電)、森木大智(高知)など、軟式出身の1年生が活躍を見せた年だった。今春選抜に出場予定だった大阪桐蔭の関戸康介も、中学時代には軟式で活躍した逸材だ。彼らが今後どのような成長曲線を辿るのかも、一つの楽しみである。
ただここで注意したいのは、今回の数字がプロ野球選手全体での割合ではないということだ。今シーズン、プロ野球には支配下選手登録799名(3月11日時点)、育成選手登録131名(2月28日時点)の合計930名の選手が所属している。これら全ての統計を取った場合にはまた別の結果が出る可能性もある。また、中学野球では軟式野球部の方が人数が圧倒的に多いことも考慮に入れなければならないだろう。あくまで一つの目安として見てもらいたい。
今年の開幕投手はまだ全て明かされてはいないが、菅野智之や大野雄大(京都外大西出身/中日)などの軟式出身が多いのか、それとも西勇輝(菰野出身/阪神)などの硬式出身が多いのか。開幕の日を楽しみに待ちたい。
記事 =林龍也
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