センバツ中止に対する四国勢2校の対応 明徳義塾・馬淵監督「これを糧にして将来につなげて」
尽誠学園の白根良尚校長(右)と西村太監督(左)
東日本大震災から9年目となる2020年3月11日(水)・3月19日(木)から無観客にて開催予定だった「第92回選抜高等学校野球大会」が新型コロナウイルスの感染の影響により中止となったことを受け、四国地区の2校はそれぞれ取材対応を行った。
尽誠学園(香川)は同日18時から香川県善通寺市の同校会議室にて白井 良尚校長・西村 太監督が出席し記者会見を開催。白井校長は「最後まで選手たちのことを考えて手を尽くしてくれた(日本)高野連には感謝しています。ただ、今も新型コロナウイルスの感染者が増えており、決定的な防止策がない状況では中止は致し方ない」と複雑な感情を述べている。
また、西村監督は「高野連の皆さんには、このような状況の中で力を尽くしてくれたことには感謝しているが、3月5日に(選手たちが)帰ってきて準備し甲子園があると信じてやってきた中での中止なので、選手たちの心のケアをどういう風にするか考えたい」と、「無観客の中でも感謝の想いを持って、3月19日の第1試合に試合があると思って、一日一日気持ちを高めていい雰囲気での練習ができていた」選手たちに対し「自分のことより彼らのことを考えると辛さが出てくる」想いを示した。
また、主将の菊地柚(2年・二塁手)は亀井 康宏部長を通じコメントを発表。「本当に残念です。センバツ大会へ向けて18年ぶりの校歌を全員で歌いたかったです」と素直な心情と同時に「切り替えるまでに時間はかかると思いますが、最終的には夏なのでそこに向けてチーム全員で頑張ります。応援してくれた人たちのためにも、絶対に夏(甲子園に)行きます」と強い聖地への決意を表した。
なお、尽誠学園は会見後、野球部寮で「それぞれの気持ちまず聴いて、気持ちを1つにしていくための」(西村監督)ミーティングを行った後、学校休校措置中に伴い練習に参加していた24選手を速やかに実家へ帰宅させる予定。すでに出場予定だった春季四国大会の中止も決まっていることもあり、練習再開時期は今のところ未定となっている。
明徳義塾の馬淵史郎監督
一方、明徳義塾(高知)は主催社の代表取材を通じコメントを発表。馬淵史郎監督は「残念の一言。選手たちには甲子園の土を踏ませてあげたかった。ただ人生にはいろんなことがある。これを糧にして将来につなげてもらいたい」とコメントした後、「選手たちには『ウチだけじゃないし、事情が事情なだけに仕方がない。気持ちを切り替えて夏に出られるようにしよう』と伝えたが、選手たちは辛そうにしていた。慰めようもない」と心情を慮る思いを吐露している。
また、主将の鈴木大照(2年・捕手)は「自分たちで話し合って、大会があると信じて頑張ってきたが仕方ないと思った。夏の大会でもう1回甲子園に行けるチャンスはある。そこに向かってもう1回頑張っていきたい」と夏へ向けて前を向くコメントを残した。
四国地区の2校のみならず参加32校の選手・スタッフ・関係者にとって悔しさとやりきれなさが残ることは間違いない今回の史上初の状況。それでも明徳義塾の「2年ぶり19回目」。尽誠学園の「18年ぶり7回目」というセンバツの出場回数はカウントとして残る。
そして大事なのは「ここから」。尽誠学園・白井校長が生徒たちに対し「どうしても避けられない。自分たちが思っていても実行できないことがあったとしても、時間がかかってもそこを乗り越える気持ちを持ってほしい」と、教育者としてのエールを送ったように、これから夏に向かうセンバツ球児たちにはぜひ、栄誉の証であるセンバツ旗の下、9年前に高校球児たちが率先して示した「困難にも屈せず前に向かう力」を見せてほしい。
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