2018年の快進撃の裏にあった沖学園の食トレの存在。鬼塚監督が取り組んだ改革とは
炎天下の甲子園でも効果の出た食トレ
2018年夏の甲子園を振り返る鬼塚佳幸監督
沖学園の監督就任1年目で[stadium]甲子園[/stadium]出場、そして根尾 昂、藤原 恭大などタレント揃いだった大阪桐蔭に逆転負けするも、その堂々とした戦いぶりを見せたチームを作り上げた指導力、もともとホテルマンだった経歴も注目された鬼塚佳幸監督。
鬼塚監督にとってこの年は、あらためて食トレの重要性を再認識した年となった。
沖学園の監督就任前は、神村学園で副部長として選手を指導してきた。その間に春夏4回の[stadium]甲子園[/stadium]出場をサポートしてきた。もちろん、その時期から食の重要性に関してはすでに知見があった。
「神村学園は全寮制でした。練習後、既定の量のごはんを食べるために、選手全員のもとについていました」
そんな鬼塚監督だからこそ、沖学園の監督に就任すると、早速、食事についての改革を初めた。
沖学園は17時に練習が始まり、20時前後まで休みなく練習が続いていく。その後自主練習の時間が入り、生徒が自宅に帰宅する時間は22時ぐらいになる。そうなると食事を取る時間が限られてきてしまう。
さらに、当時の選手の昼食内容も鬼塚監督は気になっていた。
「昼飯が『ざる蕎麦』と『おにぎり』と軽食で済ませる選手が多かったんですよ。それで(お腹が空くので、練習の)休憩中にパンを食べたり。結局昼を食べてないからですね。それではだめだと思って」
このように鬼塚監督は振り返っている。だからこそ、きちんと食事を取ることを考えたのである。沖学園は留学生などの野球部以外の寮生も多い。そんな寮生が17時ぐらいに食事を摂る。そうなると、練習直前の17時の時間は食堂を使用できない。そこで更にその前の15時過ぎに、学校にお願いして野球部が食堂を使用できる時間を確保した。
これによって、12時に昼食をとり、15時過ぎににもう一度食事をできるようになった。
「食トレで2合半、700グラム以上食べさせているので」と鬼塚監督が話すように、この時間に食トレを入れたことで、食事という点ではバランス良く必要な栄養を摂れるようになった。
その効果は夏に発揮する。
「体が大きくなるにはなりますよね。あと怪我人が減りますね。 集中力も付く、炭水化物を取るので、プラス、バテないというか。2年前の夏、あの熱い中でも足をつる選手がほとんどいなかったんですよ。最後の最後に大阪桐蔭のときに1人つりましたけど」と効果を笑いながら話してくれた。
食トレの成果は時間をかけて発揮される。
沖学園の甲子園出場は沖学園の選手たちの生活スケジュールを汲み取った食トレ改革によって得られたものだった。
(文:田中 実)
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