徳島インディゴソックス、獅子たちから「NPB基準」を学ぶ
1回裏・埼玉西武ライオンズB班無死満塁から4番・岸潤一郎が右中間先制犠飛を放つ
先発は昨年MLBテキサス・レンジャースで13試合の登板経験を持つセットアッパー候補のリード・ギャレット。その後の4投手も一昨年11勝の榎田 大樹をはじめ、すべて一軍経験を持つ左腕たち。パ・リーグ3連覇を狙う横綱・埼玉西武ライオンズは肩書こそB班とはいえ「本気モード」で四国アイランドリーグplus所属、昨年の日本独立リーググランドチャンピオンシップ覇者である徳島インディゴソックスに胸を貸してきた。
結果は今季、徳島インディゴソックスの柱となる戸田 懐生(19歳・170センチ63キロ・右投右打・KTCあおぞら<愛知>出身2年目)、森 祐樹(23歳・190センチ93キロ・右投右打・有明(熊本)~日本経済大卒2年目)を攻略した埼玉西武ライオンズB班が11対1で埼玉西武ライオンズB班が大勝。徳島インディゴソックスの立場から見れば「ぶつかりげいこ」の結果は土俵の砂を口でかむまで転がされたと言ってよいだろう。
しかし、現役時代は中継ぎとして千葉ロッテマリーンズなどで活躍した吉田 篤史監督に悲壮感はない。「課題がはっきり出ていい試合だった」と試合全体を振り返った後、2人の選手にもこう触れた。「古田は闘争心を持ってぶつかっていっていたし、亀山もいつも通りできていた」。そう。大敗の中でも指揮官が評した
ように「NPB基準」を学んだ選手も確かにいたのである。
その筆頭格はこの日は「1番・右翼手」でフル出場した古田 佑一郎(21歳・188センチ86キロ・右投左打・柳ヶ浦<大分>~岡山商科大卒1年目)。「打席の中での対応を確認する」をテーマにした大型俊足外野手は第1打席ではファールでタイミングを合わせたフルカウントの7球からギャレットの154キロ外角ストレートを三遊間が一歩も動けない左前打。さらに最終第4打席では昨年一軍・44試合の登板経験を持つ佐野 泰雄の高めストレートを力強く右中間へ運び三塁打。唯一の得点につなげた。
また、8回裏に5番手マウンドに立った札幌大卒1年目の最速149キロ右腕・亀山 英輝(22歳・173センチ70キロ・右投両打・小樽水産<南北海道>出身)は、最速146キロをマークしたストレート中心で押し込みこの試合唯一の三者凡退に仕留める好投。15球で1奪三振と内容も上々なものを見せた。
あとは不本意な結果・内容に終わった多くの選手たちが、この試合を糧にいかに成長につなげ、個人の2020年到達地である「ドラフト指名」につなげることができるか。それは決して不可能でないことは、初回無死満塁からの先制右犠飛はじめ2打数2安打2打点2四球2得点と躍動した埼玉西武ライオンズB班の4番・中堅手の岸 潤一郎が、昨年まで徳島インディゴソックスのユニフォームを身にまとっていたことで証明してくれている。
(記事=寺下 友徳)