広島の高校生指名率は過去10年で約65%!鈴木誠也、小園海斗など数多くのスター野手を指名
小園海斗(報徳学園出身)
昨年のドラフト会議で阪神が6人の指名の内5名が高校生だったことで話題を呼んだ。将来への強い意志を感じさせる指名であり、3年後、5年後が非常に楽しみになっている。
そんな阪神以上に高校生を指名し続けているのが広島である。分離ドラフトが終了した2008年から2019年までの12回のドラフトにおいて、なんと8回で高校生の指名が半数以上を占めている。
昨年も森下暢仁(大分商-明大/1位)、宇草孔基(常総学院-法大/2位)と上位2人は大学生だったが、鈴木寛人(霞ヶ浦/3位)、韮澤雄也(花咲徳栄/4位)、玉村昇悟(丹生/6位)と3人の高校生を指名している。これで2016年から4年連続で半数以上が高校生の指名となったが、これは12球団で唯一でもある。
一般的に高卒でプロ入りした選手は、戦力となるまでに時間を要することが多い。
しかし、近年獲得した広島の高卒出身選手は早い段階で一軍に上がってきている。投手ではアドゥワ誠(松山聖陵)や遠藤淳志(霞ヶ浦)が2年目から戦力となった。
野手でも鈴木誠也(二松学舎大付)は3年目で97試合に出場し、4年目で不動のレギュラ−までのし上がっている。2018年ドラフト1位の小園海斗(報徳学園)も1年目の後半からスタメン出場が増え、58試合に出場している。2年目の今年もレギュラー争いに加わっており、成長が期待されるひとりだ。
高卒選手を多く獲得し育成しながら、チームを編成していくスタイルがここ10年以上続いているわけだ。大卒や社会人出身の即戦力候補と高卒選手の育成がピタリとはまったとき、2016年から2018年のような3連覇に結びつくのである。
3連覇中は大瀬良大地(長崎日大-九州共立大)、野村祐輔(広島広陵-明大)、菊池涼介(武蔵工大二-中京学院大)、田中広輔(東海大相模―JR東日本)といった大卒や社会人出身の選手たちが躍動。丸佳浩(千葉経大付)に鈴木ら高卒の選手たちもタイミングよく開花した。まさに育成と補強がうまくいった最たる例だろう。
しかし、歯車が狂ったとたん、いつまでも勝てない悪循環に陥ってしまう可能性も高い。近年獲得した高卒の選手たちが、どれだけ育つかが再び常勝チームとなれるかの鍵となる。
【広島の高校生指名が半数以上だったドラフト】
※2008年以降
※育成はのぞく
<2019年/6名中3名>
1位:森下暢仁(大分商-明大)
2位:宇草孔基(常総学院-法大)
3位:鈴木寛人(霞ヶ浦)
4位:韮澤雄也(花咲徳栄)
5位:石原貴規(創志学園-天理大)
6位:玉村昇悟(丹生)
<2018年/7名中5名>
1位:小園海斗(報徳学園)
2位:島内颯太郎(福岡光陵-九州共立大)
3位:林晃汰(智弁和歌山)
4位:中神拓都(市岐阜商)
5位:田中法彦(菰野)
6位:正随優弥(大阪桐蔭-亜大)
7位:羽月隆太郎(神村学園)
<2017年/6名中4名>
1位:中村奨成(広島広陵)
2位:山口翔(熊本工)
3位:ケムナブラッド誠(日南-日本文理大)
4位:永井敦士(二松学舎大付)
5位:遠藤淳志(霞ヶ浦)
6位:平岡敬人(育英-中部学院大)
<2016年/6名中4名>
1位:加藤拓也(慶応義塾-慶大)
2位:高橋昂也(花咲徳栄)
3位:床田寛樹(箕面学園-中部学院大)
4位:坂倉将吾(日大三)
5位:アドゥワ誠(松山聖陵)
6位:長井良太(つくば秀英)
<2014年/7名中4名>
1位:野間峻祥(村野工-中部学院大)
2位:薮田和樹(岡山理大付-亜大)
3位:塹江敦哉(高松北)
4位:藤井皓哉(おかやま山陽)
5位:桒原樹(常葉菊川)
6位:飯田哲矢(藤沢翔陵-JRA東日本)
7位:多田大輔(鳴門渦潮)
<2012年/5名中3名>
1位:高橋大樹(龍谷大平安)
2位:鈴木誠也(二松学舎大付)
3位:上本崇司(広島広陵-明大)
4位:下水流昂(横浜―Honda)
5位:美間優槻(鳴門渦潮)
<2009年/6名中4名>
1位:今村猛(清峰)
2位:堂林翔太(中京大中京)
3位:武内久士(城東―法大)
4位:庄司隼人(常葉橘)
5位:伊東昂大(盛岡大付)
6位:川口盛外(静岡-王子製紙)
<2008年/4名中2名>
1位:岩本貴裕(広島商-亜大)
2位:中田廉(広島広陵)
3位:小松剛(室戸―法大)
4位:申成鉉(京都国際)
(記事:勝田聡)
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