高校野球にも地域性はあるのか? 甲子園優勝監督が違いを語る「九州の野球」と「関東の野球」
今年の山梨学院は試合運びの上手いチームだ
県民性を取り上げるテレビ番組が人気を博しているが、地域によって特色が変わるのは野球も同じなのかもしれない。
2009年に清峰(長崎)を率いて、選抜甲子園優勝を経験した吉田洸二監督(山梨学院野球部監督)は、九州と関東での指導経験を持つ数少ない指導者だ。3月には4季連続となる選抜甲子園も控える吉田監督だが、昨年の選抜甲子園2回戦で筑陽学園に4対6で敗れた際に、九州地区と関東地区ののチームの違いについて次のように語っていた。
「やっぱり九州地区のチームはどんどん振ってきますね。持っている能力を活かして戦ってくる印象です。
関東地区のチームは、組織的に野球をやっているように感じます。どちらが良いということではありませんが、違いは感じますね」
昨年の選抜甲子園では、野邊優汰や布施心海など積極的な打者を揃えて明豊がベスト4に進出し、またベスト8に進出した筑陽学園も、各打者が初球からどんどんフルスイングをする姿が目立った。
プロ野球界では、九州学院出身の村上宗隆(ヤクルト)がプロ2年目で36本塁打を放って大ブレイクを果たすなど、確かに九州地区の選手は粗くも積極的にバットを振っているイメージが強い。
反対に関東地区では、昨年の選抜甲子園で準優勝した習志野、秋季関東地区大会を制した健大高崎など、「試合巧者」のイメージを持つ高校が多く、特に渡辺元智氏と小倉清一郎氏が率いたかつての横浜は「試合巧者」の象徴のようなチームであった。
吉田監督が語るように、九州地区と関東地区では確かに野球の特色が変わるのかもしれない。
そんな吉田監督が率いる今年の山梨学院も、どちらかと言えば「試合巧者」のチームだろう。ここ数年は打撃力が際立つチームであったが、前出の小倉清一郎氏がコーチに就任していることもあり、年々試合巧者ぶりに磨きがかかっている。
今年の選抜甲子園では、果たしてどんな戦いぶりを見せるか注目だ。
(記事=栗崎 祐太朗)
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