星稜ナインの現在地。昨夏決勝戦を見ている1、2年生だからこそ優勝を狙いたい
星稜・林和成監督
2018年春から五季連続出場を果たした星稜。内山壮真、知田爽汰、荻原吟哉、今井秀輔など経験者がいるとはいえ、未知数。さらに大幅にチーム始動が遅れ、甲子園に帰ってきたあと、すぐ練習試合に入るほど慌ただしいスタートだった。そんな中、どうチーム作りをしてきたのか。
これが常勝チームの作り方と思わせるものだった。まず林和成監督は何を売りにするべきかということを考えた。
「新チームが始まった当初は何でも足りないので、すべてやろうとしたら中途半端になってしまう。その中で今年は打撃がよく、内山を筆頭に強く振れる選手が多かったので、練習も打撃メインとなりました。だから守備練習もシートノック程度だったと思います」
林監督の思惑通り、選手たちは強打を発揮し、昨秋の石川県大会で5試合46得点の猛攻、北信越大会準々決勝~決勝戦まですべて二けた得点を挙げた。この成果に林監督も「私の予想以上の成果でした」と選手たちの活躍をたたえた。
しかし明治神宮大会では、守備のミスが重なり、初戦敗退を喫した。林監督は「今までしっかりとした守備の練習ができていない分、守備のミスが出てしまったのかなと思います。選手たちにレポートを書かせてもほとんどの選手が守備が課題だと気づいたので、守備メインの練習に切り替えました」
この期間は選手たちの守備力は大きく向上。三塁手の知田爽汰は打球の見方、足の運び方を変えて、捕球と送球の安定性が高まった。また、エースの荻原吟哉は球威アップへ向けてウエイトトレーニングを増やしている。
主将の内山壮真(星稜)
この12月~1月は暖冬で、例年にはなく、グラウンドで練習できたり、年末は沖縄キャンプを行ったりと、チームの仕上がりは順調。
林監督は今のチームだからこそ全国制覇を目指す必要があると語った。
「昨夏、24年ぶりの決勝まで行かせていただきましたが、また近いうちに行けると思ってしまうと、また半世紀もかかってしまう。なので、決勝戦の雰囲気を味わっている彼ら(1、2年生)のうちに狙っていきたいんですよね。
あの雰囲気は私の中でも今までとは違う雰囲気、景色がありました。まだ去年の3年生たちが甲子園で勝つにはどういうレベルに達すればいいのかを見せてくれて、それが財産になっています。それを一緒にプレーし、間近で見てきた選手たちだからこそ全国制覇を狙っていきたいと思います」
主将・内山壮真も「全国制覇へ向けて頑張っていきたい」と決意する。林監督はこのチームについて「野球がうまくなるためにいろいろなものを見て研究できる選手が多い。指導方針は自主性を大事にしていますが、近年はそういう選手が集まっていることは傾向にあると思います」
実際に話をしていても強豪校の動画、プロ野球選手の動画を見ている選手が多数だった。自ら学んで技術を高めようとする星稜ナインは一冬越して全国制覇を狙える実力をしっかりと見せつけることができるか楽しみだ。
(文=河嶋 宗一)
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