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2020年度野球規則改正 注目は「走者がフェアの打球にフェア地域で当たった場合」の解釈を変更

2020.01.27

2020年度野球規則改正 注目は「走者がフェアの打球にフェア地域で当たった場合」の解釈を変更 | 高校野球ドットコム
今回の注目は「走者がフェアの打球にフェア地域で当たった場合」の解釈を変更だ

 2020年度の野球規則改正が今日(27日)にNPBのHP(http://npb.jp/news/detail/20200127_01.html)で発表されました。
 昨年12月18日に行われたプロアマ合同の日本野球規則委員会で決定されたものです。

 今回の改正の特徴の一つは、英文の改正に倣って、走者がフェアの打球にフェア地域で当たった場合の従来の解釈を変更したことです。
 走者が打球に当たった場合、走者がフェアボールにフェア地域で触れた場合はアウトになるようになりました。これまでは走者が内野手(投手を除く)を通過していない打球に触れた場合にアウトということだったんです。つまり、例えば走者2、3塁で内野が走路より前に前進し、打球が内野手間を抜けてから2塁走者に当たった場合は、アウトとはならずにそのままプレーが続けられました。これが、内野手が走路より前に前進していても、間を抜けて走者に当たった場合はアウトをとるように変更されたのです。

 ただし、内野手のトンネルなどミスが絡み、打球が通過した後に当たっても、アウトにはなりません。たとえば遊撃手が正面でトンネルをし、その後ろにいる2塁走者に当たった時は、すでに守備機会を終えていることもあってアウトにはなりません。
 これが5.09(b)部分の改正になります。

 また、投手の投球姿勢についても、“投球動作”と“投球に関連する動作”を明確に区別する改正を行うとともに、“二段モーション”を規制するために長年にわたって採用されてきた条文の改正などが行われました。5.07(a)(1)の部分ですね。

 5.10(g)の後段については、アメリカで打者1人のワンポイントリリーフができなくなる改正をしたという話題に関連しますが、マイナーリーグとなっていますので、今シーズンの日本の野球で採用とはならないことが多いでしょう。

 忘れてはならないのは高校野球特別規則とアマチュア野球内規の2020年度版は来月発表される予定ということです。高校野球では公認野球規則、アマチュア野球内規、高校野球特別規則の3つに沿って行われるため、高校野球関係者の皆さんは、全てが出そろってからの対応が求められます。

 高校野球特別規則とアマチュア野球内規の2020年度版が発表されてから、あらためて整理したいと思います。
 なお、公認野球規則は例年3月中旬以降に書店などでも市販されますので、選手や野球に関係する方はぜひ1冊手にすることをおススメします。

[page_break:2020年度 野球規則改正 日本野球規則委員会]

2020年度 野球規則改正 日本野球規則委員会

(1)5.05(a)(4)の末尾に次を追加する。
 (走者については、6.01a11参照)

(2)5.05(b)(2)【原注】を追加する。
 【原注】投球が打者の身に着けているネックレス、ブレスレットなどの装身具にだけ触れた場合には、その打者が投球に触れたものとはみなさない。

(3)5.06(b)(4)(I)前段を次のように改める。(下線部を改正)
  四球目、三振目の投球が、捕手のマスクまたは用具、あるいは球審の身体やマスクまたは用具に挟まって止まった場合、1個の塁が与えられる。

(4)5.06(c)(7)を次のように改める。(下線部を改正)
  投球が、捕手のマスクまたは用具、あるいは球審の身体やマスクまたは用具に挟まって止まった場合──各走者は進む。

(5)5.07(a)(1)①および同(2)②を次のように改める。(下線部を改正)
  打者への投球動作を起こしたならば、中断したり、変更したりしないで、その投球を完了しなければならない。

(6)5.07(a)(2)【注2】を次のように改める。(下線部を改正)
 (1)(2)項でいう〝中断〟とは、投手が投球動作を起こしてから途中でやめてしまったり、投球動作中に一時停止したりすることであり、〝変更〟とは、ワインドアップポジションからセットポジション(または、その逆)に移行したり、投球動作から塁への送球(けん制)動作に変更することである。

(7)5.07(d)本文中の「投球に関連する動作」を「投球動作」に改める。

(8)5.09(b)(7)前段を次のように改める。(青線部を削除、赤線部を中段から移動)
  走者が、内野手(投手を含む)に触れていないか、または内野手(投手を除く)を通過していないフェアボールに、フェア地域で触れた場合。(5.06c6、6.01a11参照)

(9)5.09(b)(7)【注2】の②全文および①冒頭の「内野手を通過する前に、」を削除する。

(10)5.10(g)の後段として次を追加する。
 以下はマイナーリーグで適用される。先発投手または救援投手は、打者がアウトになるか、一塁に達するかして、登板したときの打者(または代打者)から連続して最低3人の打者に投球するか、あるいは攻守交代になるまで、投球する義務がある。ただし、その投手が負傷または病気のために、それ以後投手としての競技続行が不可能になったと球審が認めた場合を除く。

(11)5.10(m)を次のように改める。
①同(1)の(マウンドに行ける回数)「6回」を「5回」に改める。
②同(2)本文の最終の文「ただし、次の場合を除く。」を次のように改める。
  ただし、すでにマウンドで行なわれている相談に途中から監督、コーチまたは野手が加わっても、新たな回数には数えない。さらに、次の場合もマウンドに行く回数には数えない。
③同(2)(B)を次のように改める。(下線部を改正)
 野手が、投手と話すためでなく、単にスパイクの汚れを払うためにマウンドに行った場合。
④同(2)(D)を次のように改める。(下線部を追加)
 攻撃側チームによる選手交代の通告後、投手が次の1球を投じるか、または、プレイをする前に、野手がマウンドに行った場合。
⑤同(2)(E)~(G)を追加する。
(E)審判員のタイム(たとえば、審判員や選手が負傷したり、観客、物体、または球場整備員がフィールド上に現れたり、あるいは監督がリプレイ検証を要求したときなど)による試合の中断の際、野手が試合の再開を遅らせることなく、マウンドに行った場合。
(F)フェンス越えの本塁打を打たれた後に、野手がマウンドに行った場合。ただし、打者走者が本塁に達する前には自分の守備位置に戻らなければならない。
(G)イニングの間および投手交代の間に適用された時間制限の中で、野手がマウンドに行った場合。
⑥同(4)を追加する。

[page_break:2020年度 野球規則改正 日本野球規則委員会 その②]

2020年度 野球規則改正 日本野球規則委員会 その②

(4)マウンドに行く回数制限の施行──監督またはコーチが、チームに与えられたマウンドに行ける回数を使い果たした後に、マウンドに向かうためにファウルラインを越えてしまえば、その救援投手の第1打者が打撃中でない限り、その投手を交代させなければならない。もし第1打者の打撃中であれば、規則5.10(g)により、その打者が打撃を完了するまで投げ続けなければならない。
 監督またはコーチが、マウンドに行く回数に例外が適用されると思う場合は、ファウルラインを越える前に審判員に確認しなければならない。

 本規則の運用によって突発的な投手交代を行なわなければならないとき、救援投手がブルペンでウォームアップをしていなかった場合、監督またはコーチは、マウンドに行く回数制限を超えて違反したことにより、試合から退けられる。この場合、審判員は、その救援投手に対して、試合に出場するために必要な準備の時間を与えることができる。
 野手が、チームに与えられたマウンドに行ける回数を使い果たした後に、審判員に自分の守備位置に戻るよう注意されたにもかかわらずマウンドへ行けば、その野手は試合から退けられる。しかし、この場合、投手交代の必要はない。

(12)6.02(a)(1)を次のように改める。(下線部を改正)
 投手板に触れている投手が、5.07(a)(1)および(2)項に定める投球動作に違反した場合。

(13)補則「ボールデッドの際の走者の帰塁に関する処置」(Ⅰ)(e)(2)本文を次のように改める。(下線部を改正)
 フェアボールが、内野手(投手を含む)に触れる前に、フェア地域で走者または審判員に触れた場合。または、フェアボールが、内野手(投手を除く)を通過する前に、フェア地域で審判員に触れた場合。

(14)9.01を次のように改める。
①同(a)の2段落目を次のように改める。(下線部を追加)
 記録員は、ホームチームにより割り当てられた新聞記者席内の所定の位置で試合の記録をとり、記録に関する規則の適用に関して、たとえば打者が一塁に生きた場合、それが安打によるものか、失策によるものかなどを、独自の判断で決定する権限を持つ。

②同(a)の4段落目以降を次のように改める。(下線部を改正)
 クラブ職員およびプレーヤーを含むすべての人は、その決定について記録員に異議を唱えることはできない。
 記録員は、あらゆる記録を決定しなければならない。記録員の判断を要することが起きたとき、記録員は、プレイの進行に沿って次の打者が打席に入るまでに記録を決定するように最善の努力をする。記録員は、その裁量で、試合終了後あるいはサスペンデッドゲーム宣告後24時間以内に、当初の決定を最終の決定とするか、変更するかを決定する。
 メジャーリーグのプレーヤーまたはクラブは、試合終了後あるいは決定の変更後72時間以内に、書面または認められた電子的手段によってコミッショナー事務局へ通知して、運営部門責任者に記録員の決定を見直すように要求することができる。(以下省略)

③同(c)後段を次のように改める。(下線部を追加)
 記録員は、その任務の遂行にあたり、監督、プレーヤー、クラブ役職員、報道関係者から侮辱的言動を受けた場合には、いかなるものでも然るべきリーグ役職員まで報告しなければならない。

(15)定義76の最終段落として次を追加する。
 本定義では、プレーヤーが身に着けているネックレス、ブレスレットなどの装身具は、プレーヤーの身体の一部とはみなさない。

(16)定義80を次のように改める。(下線部を追加)
 プレーヤーまたは審判員の身体はもちろん、着用しているユニフォームあるいは用具(ただし、プレーヤーが身に着けているネックレス、ブレスレットなどの装身具は除く)のどの部分に触れても〝プレーヤーまたは審判員に触れた〟ことになる。

(文=松倉 雄太

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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