ジャイアンツカップに設けられた球数制限とWBSCが設定する球数制限を比較して見えてきたもの
昨年のジャイアンツカップで優勝した世田谷西シニア
中学硬式野球最高峰の大会「ジャイアンツカップ」は今年から球数制限が実施される見通しだ。今回は視点を変えて、WBSC(世界野球連盟)がU18大会で設けた球数制限のルールを比較しながら、考えていきたい。
まず、ジャイアンツカップで新たに制定されるルールは以下の通り。
・1日最大80球以内。連続する2日間で、120球以内とする。
・3連投(連続する3日間で3試合)する場合は、1日の投球数を40球以内とする。4連投(連続する4日間で4試合)は禁止する。
・1日80球の投球後、翌日投球を休めば(中1日)、3日目は80球の投球を可とする。
基本的なルールは上記の通り。WBSCは以下に設定されている。
・49球以下なら連投可能
・50球~104球までは中1日が必要
・1人当たりの最大投球数は105球(その打者まで投球可能)。105球に達した場合は中4日が必要
・球数にかかわらず、4連投(4日連続)は不可。
まず4連投は禁止なのは共通点なのに対し、WBSCは1試合の投球数で休みの日を決めるのに対し、ジャイアンツカップは2試合を合計した球数も決めている。
WBSCにある中4日がジャイアンツカップにはないのは、10日間の開催期間もあるワールドカップに対し、ジャイアンツカップは5日間開催が基本。大会日程をうまく勘案した作られたルールだといえる。
もともと中学のリトルシニアでは1日7イニング、連続する2日間で10イニング以内。さらに練習中の全力投球も70球、1週間で350球以内と、遵守することが求められているため、このように細かくルールが作られたといえる。
日本高野連は「1週間500球以内」と定めたが、長いスパンで行われる甲子園、県大会だけではなく、5日連続開催の春季関東大会など短いスパンで行われる大会もある。「500球以内」だと、オリックス入りした宮城大弥(興南)が6日間で全4試合に登板し2完投しても、500球に達しなかったことを考えると、開催期間の長さによって球数制限のルールを変えることも議論すべきだといえる。
(記事=河嶋 宗一)
関連記事
◆来春の選抜から1週間500球以内に!昨春優勝の東邦から見えるエースをうまく使うコツ
◆来春の選抜から1週間500球以内に!選抜準優勝の習志野の投手運用は理想的だった
◆宮城大弥(興南)の例から見ても分かる500球以内ルールが今までと変わらない理由