まさに死闘!馬場記者が選ぶ、2019夏の甲子園 ベストゲームはこれだ!
奥川泰伸(星稜)※写真は共同通信
今年も高校野球では数多くの名勝負が生まれた。その中でベストゲームを選ぶとすれば、夏の甲子園3回戦の星稜対智辯和歌山だろう。
星稜は中学で日本一に輝いた奥川恭伸と山瀬慎之助のバッテリーを擁する優勝候補。
智辯和歌山は5季連続で甲子園に出場した黒川史陽、東妻純平、西川晋太郎といったタレントを揃えており、白熱した好勝負が期待された。
この試合では先発した奥川が絶好調。4回までパーフェクトに抑え、7奪三振と強打の智辯和歌山を寄せ付けなかった。
対する智辯和歌山は奥川との投げ合いを直訴した小林樹斗が今大会初先発。1回、2回は得点圏に走者を背負いながらも粘り強い投球を見せていたが、4回裏に山瀬に犠牲フライを打たれて降板となった。
絶好調の奥川相手の1点は重かったが、智辯和歌山は6回表に相手の失策からチャンスを作ると、西川の適時打で試合を振り出しに戻した。その裏からはエースの池田陽佑が登板。奥川に負けない熱投を見せた。
試合は互いに譲り合うことなく、延長戦に突入。終わりの見えない投手戦が続くと思われたが、11回表に奥川が右足を攣るアクシデントに見舞われる。
その中で相手の黒川が熱中症対策の錠剤を渡して世間から称賛されたことも話題になった。
選手の体を考えれば早く終わらせてあげたいが、まだまだこの2チームの試合を見ていたい。そんな矛盾した思いを感じながら記者席で戦況を見つめていた。
12回でも決着がつかず、決着はタイブレークに持ち込まれることになった。無死一、二塁と得点の入りやすいケースだが、奥川、池田ともに送りバントすら決めさせず、得点が入らない。
体が限界を迎えているはずの奥川はタイブレークになっても150キロ超えの速球を連発。いったいどこにそんな力があるのだろうかと思わされた。
永遠に続くのではないかと思っていた試合は突然、終わりを告げる。
14回裏、一死一、二塁から6番・福本陽生が左中間に3ラン本塁打を放って星稜のサヨナラ勝ち。
負けた智辯和歌山の選手だけでなく、勝った側の奥川や福本の目に光るものがあった。
勝ち負けを超えた激闘の跡が彼らの表情から見て取れた。彼らが繰り広げた熱戦は間違いなく後世にも語り継がれるだろう。
(記事=馬場 遼)
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