ウインターリーグで好調な根尾昂はどこのポジションで花開くか?
根尾昂(中日) ※写真:共同通信
台湾で行われているアジア・ウインターリーグ・ベースボールで根尾昂(中日)が、ここまで11試合に出場し打率.300(40打数12安打)と奮闘している。
12月7日の試合では初の3安打猛打賞に加え、中堅の守備では後方の打球を背走しながら好捕する活躍を見せる。根尾は大阪桐蔭高校時代に選出されていたU-18日本代表で右翼を経験していたものの、本職は遊撃と投手だった。
それにも関わらず、慣れない外野守備をこなしながら打撃面でも一定の数字を残しているのは、さすがといったところだろうか。現時点で完全なコンバートではないが、自身の幅を広げるために前向きに取り組んでいるようだ。
NPBの世界で遊撃から外野へのコンバート事例は数多くある。福留孝介(阪神)もプロ入り後に遊撃から外野へ転向。本格的に転向した2001年には守備の負担が軽くなった影響もあるのか、いきなり打率.343(542打数186安打)で自身初の首位打者を獲得した。これまでに5度のゴールデングラブ賞を受賞するなど、打撃だけでなく守備でもチームに貢献している。
その他には、このオフにFA移籍を果たした福田秀平(ソフトバンク→ロッテ)や梶谷隆幸(DeNA)、陽岱鋼(巨人)も遊撃から外野へコンバートされ結果を残した選手たちだ。
現時点における中日の内野陣を見ると、遊撃のレギュラーには京田陽太、二塁には2019年シーズンにブレイクした阿部寿樹。一塁はダヤン・ビシエド、三塁は高橋周平とここも主軸となる選手が君臨している。
また控えにも守備に定評のある堂上直倫や、外野との併用ではあるがパンチ力のある福田永将が名を連ねており、この争いを勝ち抜くのは容易ではない。
一方の外野は、中堅・大島洋平と右翼・平田良介がレギュラーとして固定されることが濃厚。左翼には故障の回復具合にもよるが、残留の決まったソイロ・アルモンテや福田、その他にも若手の伊藤康祐とこちらも争いは熾烈である。
内外野どちらにせよ、控えを含めて一軍での居場所を掴むには競争を勝ち抜く必要があることは変わらないのである。しかし、ひとつでも守れる場所が多ければその分チャンスは増えてくる。
根尾自身も契約更改後の会見で「自分の可能性を広げてくれる。それで一軍で出るチャンスが増えるのであれば続けていきたい」と前向きだった。
数年後の根尾は遊撃で京田を脅かす存在となるのか、それとも福留のようにコンバートされて外野で花開くのだろうか。
まずは、その第一歩としてAWBで攻守ともに結果を残し、どのポジションでも争いに加わっていけるようになることを期待したい。
(記事=勝田 聡)
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