19年ぶり4度目の優勝を決めた慶應義塾大。そこに立ち向かったのは関西大だった。エースとしてマウンドに登った森 翔平(4年・鳥取商)はまさに遅れてきた大器だった。

 モノが違う。森 翔平が明治神宮大会で見せてきたピッチングは、ドラフト指名された左腕と変わりないぐらいのハイレベルだった。

 今永 昇太のように右足を上げた時に滑らかな体重移動から投げ込む直球は、常時130キロ後半~145キロを計測。回転数の高いストレートは両サイドに投げ分ける。1回通してから140キロ中盤の速球を連発し、金沢学院大戦では、最速149キロを計測。

 さらに変化球の精度も高い。カットボール、スライダー、チェンジアップ、カーブ。特に130キロ前半のカットボールで次々と三振を奪い、13奪三振の快投。

 9回途中まで無失点の投球を見せた。直球、変化球の精度、何においても完ぺきなように見えたが、森は「あまり調子が良くなく、空振りしたボールも振ってもらった感が強いです。悪いなりに締められたかなと思っています」と反省を込めた。

 関西大の4年間で化けた。鳥取商時代は投手と外野手を兼任。140キロ近い速球を投げる左腕として注目を浴びたが、甲子園出場なし。最後の夏は登板なく夏を終えた。

 関西大に入学し、本格的に投手専念もベンチ入りできず。2年前の明治神宮大会もスタンドから戦況を見守った。憧れを抱きながら、大学3年になり、オープン戦で必死にアピールし、ベンチ入りに成功。また元阪急の名投手・山口高志さんからの指導を受けてさらに成長していくと、4年生になってリーグ戦初勝利。秋は2勝3敗に終わったが、関西地区代表決定戦で好投を見せ、評価を上げて臨んだ神宮大会だった。

 まず金沢学院大戦で13奪三振の快投を見せた後、準決勝の東海大戦では自責点0の好リリーフ。迎えた決勝戦の慶應義塾大戦では4番・郡司 裕也にインコースストレートを捉えられ、2ラン。8回にも郡司に2点適時打を打たれ、改めて全国のレベルの高さを思い知らされた大会となった。

 全国で高い素質を発揮した森。フォームの再現性の高さ、平均球速の高さ、変化球の精度など含めても高レベルで、社会人2年間でドラフト上位も狙える可能性を持った逸材だった。卒業後は三菱重工神戸・高砂でプレーする森。ハイレベルな近畿地区でも突出した活躍を見せることができるか、楽しみだ。

(文=河嶋 宗一