「成長が見当たらなかった」大学4年間の苦しみ そんな中で東海大・杉崎成輝が得たものとは?
東海大の杉崎成輝
悔しさだけが残る、不完全燃焼の大学野球であった。
11月19日、明治神宮大会大学の部の準決勝、東海大と関西大学の試合は延長タイブレークの末、関西大学が勝利し東海大学は準決勝敗退となった。
3番・ショートで先発出場した杉崎成輝はこの日は1安打に終わり、延長10回のタイブレークでも投手ゴロとランナーを返す働きはできなかった。
怪我の影響もあり思うような成績を残すことができなかった4年間。成長したという手応えが掴めないままの引退となり、杉崎は試合後に悔恨の涙を流した。
大学3年の春のリーグ戦前日、練習中に左足首を負傷して戦線離脱を余儀なくされた。復帰には半年以上を要し、チームに迷惑を掛けただけでなく自らの感覚も鈍らせてしまうこととなる。
「最後の打席も、中途半端なスイングになってしまい悔いが残ります。大学野球の4年間は悔しさの方が強くて、成長という面も見当たらないですね」
だが、失ってばかりの大学野球生活だったかと言われればそうでは無い。
4年間、苦しみを共にした仲間、特に東海大相模時代から一緒であった千野啓二郎、長倉蓮、宮地恭平、そしてマネージャーの加藤瞬の存在は、杉崎にとってかけがえのないものとなった。杉崎は言葉を詰まらせながら、東海大相模時代からの7年間の思いを口にした。
「マネージャーの加藤瞬も含めて、5人でずっと野球をやってきて、苦しい時もいつも一緒でした。これから(一緒に野球が)できないのが寂しいです。
でも、これからも刺激しあっていける存在になれればと思います」
卒業後は、JR東日本へ入社予定だ。
ここからまた気持ちを新たに野球に打ち込んでいくことになるが、決して高望みはせずにチームへの貢献の第一に考えてプレーするつもりだ。まずはチームの目標でもある都市対抗野球での優勝に向かって、練習に打ち込んでいく。
「まずは都市対抗での優勝を目指します。チームが優勝できたら自分もレベルアップできると思うので、そこを目指したいと思います。(東海大の仲間とも)東京ドームで揃いたいですね」
「人間万事塞翁が馬」
人生は悪いことばかりではない。大学時代の鬱憤を社会人で晴らすような活躍を是非とも見せて欲しい。
(記事=栗崎 祐太朗)