1155球・240アウトを守り抜いた優勝投手・市川悠太!ヤクルトでも神宮の申し子となれるか
鉄腕・市川 悠太
「全部投げるつもり」の宣言を体現し、高知県大会・四国大会・そして明治神宮大会。10試合で1155球・240アウトを守り抜いた。平成最後、いや、日本高校野球史で最後となる「1人で投げ抜いた全国大会優勝投手」になるかもしれない右の鉄腕。それが2017年・第48回大会で明徳義塾(高知)を36年ぶり2度目となる明治神宮大会優勝に導いた市川 悠太である。
当時の武器はサイドハンドに近いスリークォーターの位置から繰り出される140キロ後半のストレートとスライダーで荒れ球を伴いながらの三振奪取。そして「力でねじ伏せる」気持ちの強さ。ただ、明治神宮大会に関して言えばそのスタイルとは違った側面を見せた。
「いい状態の試合は1試合もなかった」。後に自身はこう大会を振り返っているが、ストレートの球速が130キロ後半に留まっても、メンタルも含めた「制球力」でカバーし、創成館(長崎)との決勝戦では4安打4奪三振3四死球完封。大会通じても3完投・27回を投げ被安打16・16奪三振・10四死球・防御率1.67の安定感は、翌年ドラフト3位での東京ヤクルトスワローズ入りを決める上での大きな指針となった。
こうしてまさに「神宮の申し子」となり、目標だった「高卒プロ入り」と「侍ジャパンU-18代表入り」も果たした市川。今年は最終戦に一軍昇格も登板はなし。秋の一軍松山キャンプも逃し、一度はつかんでいた「2019アジアウィンターリーグ」参加も見送られるなど、苦みを伴ったルーキーイヤーとなったが、あの時の制球を思い出し、2020年こそは燕のユニフォームを着ての「神宮の申し子」となる。
記事=寺下 友徳