奈良県3位から近畿王者になった天理 試合前ノックで大切にする「一、三塁」時の想定
三塁・下林源太(天理)
11月16日に行われた明治神宮大会。第1試合では近畿大会王者の天理が、仙台育英を8対6で下して準決勝進出を決めた。仙台育英が2度にわたって同点に追いつくなど粘り強さを見せたが、最後は天理の打撃力に屈する展開だったこの試合。
試合後、仙台育英の須江航監督は天理の打撃力の高さを称えたが、そう一方で堅実で強固な守備力についても言及した。
「打撃力が高いと言われいますが、試合の前のノックからディフェンスもしっかりしていました。
最後のバックホームでは一、三塁を想定して、前の打球はホームに投げて、後ろの打球だとゲッツーを狙っていたり、そういったこだわりも持っていて素晴らしいなと。ディフェンスが乱れることはないかなと思いました」
秋季近畿地区大会では、大阪桐蔭を相手に12得点を奪うなど高い打撃力が持ち味の今年の天理。だがその打撃力の高さを支えているのは、硬い守備力にあるのだ。
バックホームで「一、三塁を想定する」こだわりについて、下林源太主将は入学した時からずっと行っていることで、天理のノックでは文化にように根付いていると話す。
「入学して最初のノックからずっと、最後のバックホームは一、三塁想定でやっています。ゲッツー取るのか、バックホームするのかを打球判断してやっています」
秋季奈良県大会では準決勝で智辯学園に13対3でコールド負けを喫して選抜出場へ暗雲が立ち込めたが、3位決定戦で奈良を下し何とか望みを繋げた。
下林は、そんな中でも近畿大会を勝ち抜けた裏にも、一人一人が細かなプレーを大切にする意識があったことを明かす。
「準決勝で智辯学園にコールド負けして、それから全員に絶対に負けたくないという気持ちが出てきました。それまではそれぞれ自分たちのことし考えずに野球をしてたんですけど、(負けてからは)弱いことを自覚して一つ一つのプレーや声掛けを大事にしていったらチームのことも考えられるようになると思いました」
これでベスト4入りを決めた天理。準決勝でも明徳義塾と中京大中京の勝者と対戦することになっているが、選手たちの一挙手一投足が見逃せない。
(記事:栗崎 祐太朗)