過去10年間で唯一の野手は森友哉!西武のドラ1戦略は投手重視!
ドラフト会議2019で西武ライオンズにドラフト1位指名された宮川哲(東芝)
この10年間のドラフト1位選手は120名。内訳は投手84名、捕手5名、内野手18名、外野手13名となっており、全球団平均で投手7名を指名している計算になる。一番多いのは西武の9名、一番少ないのはロッテの5名だった。
「山賊打線」の異名をとり、圧倒的な破壊力を誇る攻撃でパ・リーグ2連覇を果たした西武は、意外にもドラフト1位ではほとんどの年で投手を指名していた。野手は2013年の森友哉のみで、あとは高卒投手2名、大卒投手4名、社会人投手3名で、そのほとんどが一軍の戦力として機能している。 また、ここ20年のドラフト1位(自由枠等含む)へと範囲を広げても、指名した23名中19名が投手となっており、DeNA(横浜時代含む)の20名に次ぐ2番目の数字だ。いずれもすでに他球団やMLBに移籍済みだが、涌井秀章、岸孝之、菊池雄星らそうそうたる名前が並ぶ。
伝統的に選手の流出が多く、FAでの補強が少ないチームではあるが、それでも1982年から2007年まで26年連続Aクラス、ここ20年で見てもBクラスに沈んだのは5回のみと、圧倒的な強さを誇る西武。そこには1位でエース級の投手を獲得し、2位以下で打撃タイトルを獲れるような野手を獲得するスカウティングがあったことがわかる。
また興味深いのは、2001年の細川亨、2005年の炭谷銀仁朗、2013年の森と、定期的にドラフト1位で捕手を指名しており、20年間で3名の指名は12球団でも最多の数字だ。さらに、この3名の捕手全てがレギュラーを獲得し、チームの大黒柱へと成長を遂げているのだ。
1位ではエース候補となりうる投手をメインに獲得し、それを支える捕手を定期的に獲る。山賊打線を形成するスラッガーたちは、将来有望な選手を2位以降で獲得する。シンプルだが、これが常勝軍団・西武のドラフト1位戦略と言えるだろう。
正捕手に定着した森の指名から7年目となる来秋ドラフト。久しぶりの捕手1位指名となるのか、それとも従来通り投手なのか。今から注目して待ちたい。
【過去10年の西武のドラフト1位指名】
2010年 大石達也(早稲田大)
2011年 十亀剣(JR東日本)
2012年 増田達至(NTT西日本)
2013年 森友哉(大阪桐蔭)
2014年 高橋光成(前橋育英)
2015年 多和田真三郎(富士大)
2016年 今井達也(作新学院)
2017年 齊藤大将(明治大)
2018年 松本航(日体大)
2019年 宮川哲(東芝)
(記事=林 龍也)