侮れない千葉ロッテの下位指名高校生投手の育成力。その育成力を佐々木朗希にも発揮できるか??
鹿児島情報時代の二木康太
今年のドラフトの目玉・佐々木朗希(大船渡)の交渉権の獲得に成功し、指名あいさつを終えた千葉ロッテ。千葉ロッテで誇るべきものがある。それが下位指名、または育成枠指名した高卒投手が一軍で活躍している歴史である。
本拠地が千葉に移ってから下位指名で活躍した投手といえば、小野 晋吾(御殿場西出身)だろう。1993年ドラフト6位指名を受けた小野は高卒4年目に一軍初登板。高卒7年目の2000年に13勝を上げ、最高勝率のタイトルを初受賞。二けた勝利は通算3回をマークし、通算85勝を挙げ、2013年に引退した。
近年では二木康太(鹿児島情報出身)だろう。2013年ドラフト6位指名を受けた二木は、プロ3年目の2017年に先発ローテーション入りし、7勝を挙げた。その後も先発投手として活躍し、まだ二けた勝利を挙げていないが、4年連続で100イニング以上を投げており、その貢献度の高さは見事だ。
二木に続くように下位指名投手の活躍が目覚ましい。2016年ドラフト6位の種市篤暉(八戸工大一出身)はプロ3年目の今年、26試合を投げ、8勝2敗。防御率3.24。さらに投球回116.2を大きく上回る135奪三振はマークし、千葉ロッテでは数少ない三振を奪える先発投手として存在感を示した。
今年引退した阿部和成(大牟田出身)は2007年高校生ドラフト4巡目で入団。2015年に最多の14試合に登板し、通算52試合。阿部は高校時代から突出した球速を投げる投手ではなかったので、12年もプレーできたのは凄いだろう。
育成枠から出世した投手といえば西野勇士(新湊出身)だろう。2008年育成ドラフト5位指名で入団した西野は、高卒5年目の2013年から一軍で活躍し、9勝。2014年~2016年は抑えに転向し、3年連続20セーブをマーク。その後、不調が続いたが、今年は中継ぎ投手として復活を示し、37試合を投げ、防御率2.96と好成績を残した。
下位指名で活躍している高校生投手が多い千葉ロッテの育成力は侮れない。今年は2007年の唐川侑己(成田出身)以来の高校生投手をドラフト1位指名。唐川も通算71勝、14ホールドをマークしており、それなりの実績を残しており、これからは、高校生投手の育成力の高さを世間にアピールする期間に入った。
佐々木について球団内も、そしてファンからも伊良部秀輝(尽誠学園 1987年ドラフト1位)以来の大器と評価する声が多い。当時、日本最速の158キロを投げる剛速球右腕だった伊良部は千葉ロッテ時代に通算59勝をマークし、その後、メジャーリーガーとなった。
望むは伊良部以来の剛速球スターターだろう。ぜひ大成していただき、本拠地で予告先発となれば、平日でも満員になる人気投手に育て上げることを期待したい。
文=河嶋 宗一