珍しい? 荻野貴司は奈良2強以外(天理・智弁学園)の奈良県出身者
ロッテの荻野貴司が好調だ。今シーズンの荻野はメンバー的に見ても開幕スタメンはもちろん、外野のレギュラーとして確実視されていた。しかし、オープン戦では9試合で打率.059(17打数1安打)と絶不調に陥ってしまう。
そのため開幕スタメンの座をドラフト1位ルーキーの藤原恭大に奪われ、自身は途中出場。打席機会は回っこなかった。チームは白星をあげたものの、悔しいスタートとなってしまったのである。
その後も途中出場が続いていたが、4月半ばにスタメンを奪い返すことに成功。そこからは怒涛のごとく打ちまくり、首位打者を争うほどの高打率をマークしている。
初の規定打席到達へ!
好調を維持する荻野貴司
そんな荻野は奈良県の奈良郡山高校から関西学院大学へ進学。トヨタ自動車を経て2009年ドラフト1位でロッテへと入団する。大卒社会人出身ということもあり、現在33歳と年齢的にはベテランに差し掛かりつつある。
プロ10年目になるが、故障も多くこれまでに規定打席に到達したことはない。今シーズンはまたとない絶好のチャンスとなっているのである。
奈良県の高校出身者では昨シーズン、智辯学園高校出身の岡本和真(巨人)と天理高校出身の西浦直亨(ヤクルト)がそれぞれ初めて規定打席に到達した。奈良郡山出身の荻野も同県出身者として続きたいところだ。
奈良県の高校というとやはり、西浦や岡本の母校である天理と智辯学園の名前がひときわ目立つ。現役選手では天理が中村奨吾(ロッテ)、太田椋(オリックス)。智辯学園は岡崎太一(阪神)、廣岡大志(ヤクルト)、青山大紀(オリックス)と人数も多い。
その他の高校出身の現役選手は大和広陵高校出身の立田 将太(日本ハム)、クラーク記念国際高校奈良キャンパス出身の福永春吾(阪神)、そして荻野の3人しかいない。
また、高校野球選手権大会への出場回数を見ても天理高校が28回、智辯学園高校が18回。それに続く奈良郡山高校が6回となっており、2校の存在感が際立っている。
荻野は今シーズン規定打席に到達することで、「天理と智辯学園以外にも奈良県には有力校がある」ということを知らしめることができるだろうか。母校の名前を広めるまたとないチャンスをものにしたい。
文=勝田聡