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全国制覇から3年…西武の今井達也がプロ初完封

2019.05.09

 5月5日の西武対楽天の一戦で高卒3年目の今井達也が、プロ入り後初完封勝利をマークした。これで今シーズン4勝目となり、チーム最多勝。先発ローテーションの一角として、大きくチームの支えになっている。
 菊池雄星(現・マリナーズ)が退団したチームで、エースの座を奪わんとする勢いである。

上位指名組の意地

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作新学院時代の今井達也

 今井が全国にその名を轟かせたのは、2016年の全国高校野球選手権大会だろう。この大会では履正社高校の寺島成輝(現・ヤクルト)、横浜高校の藤平尚真(現・楽天)、花咲徳栄高校の高橋昂也(現・広島)が「BIG3」として大きな注目を浴びていた。

 そんななか、作新学院高校の今井は飄々(ひょうひょう)と勝ち上がっていった。最速150キロを超えるストレートは剛速球といくより、快速球。糸をひくような軌道は美しい。準決勝の明徳義塾高校戦こそ、5回でマウンドを降りているが、その他の4試合はすべて完投。決勝の北海高校戦でも9回1失点完投勝利とまさに無双した。

 昨年、金足農業高校の吉田輝星(現・日本ハム)が疲労もあり決勝では思うように投げられなかったことを考えると、まさに驚異的。実力はもちろん、スタミナもすでに備わっていたのである。

 この大会で一気に評価を上げた今井はドラフト会議で西武に1位指名を受け、プロ入りを果たすことになる。

 しかし、1年目は肩の故障もあり一軍での登板はなく二軍でも7試合のみ。2年目となった昨シーズンは未成年の喫煙が発覚し、3ヶ月のユニフォーム着用禁止処分を受けた。

 それでも6月には一軍昇格を果たし、初登板初勝利をマークする。ここから一気にブレイクするかと思われたが、「プロの壁」にぶち当たり5勝5敗、防御率4.81の成績を残す。もちろん、高卒2年目としては限りなく優秀な成績であることは間違いないが、一気にブレイクとまではいかなかった。

 そして迎えた今シーズンは開幕ローテーションに入るも、初登板は5回途中6失点で黒星スタート。2戦目に白星をあげたが、3戦目は6回途中7失点(自責5)と不安定な投球が続く。この試合後に辻発彦監督は「就任して3年で一番しょうもない試合をした」と手厳しかった。

 それに発奮したのか今井はそこから3連勝。チームに無くてはならない存在となったのであある。

 高校時代、ともに甲子園を沸かせドラフト上位で指名した寺島、藤平、高橋らはまだ実績を残していない。ドラフト上位で結果を残しているのは、今井を除くと堀瑞輝(日本ハム)くらい。

 どちらかと言えば、才木浩人(阪神3位)、梅野雄吾(ヤクルト3位)、山本由伸(オリックス4位)、アドゥワ誠(広島5位)、種市篤暉(ロッテ6位)といったドラフト中位・下位指名組のほうが戦力となっている。

 高卒3年目のシーズンということもあり、まだまだ世代のトップはだれになるかわからない。

 ドラフト上位指名組の意地にかけて、今井が世代を引っ張っていく。

 ※数字は2019年5月5日終了時点

文=勝田聡

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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