塩見泰隆、井口和朋をもってしても甲子園には届かなかった武相高校
2月下旬に始まったオープン戦も残すところあとわずかとなった。結果を残すことの出来なかった若手選手たちは、主力組が出場するようになった時期から二軍降格を通達されることになる。春季キャンプでは好調でも練習試合、オープン戦と進んでいくに連れて相手の状態も上がり、なかなか結果を残すことが出来なくなってくるのは自然のことでもある。
そんななか、好調をキープし一軍に帯同、開幕一軍のみならずレギュラーを脅かしそうな選手がいる。ヤクルトの2年目塩見泰隆である。
武相高校では井口和朋と同期
武相高校時代の井口 和朋(日本ハム)
このオープン戦で塩見は絶好調。12試合の出場で打率.400(40打数16安打)、2本塁打、6打点と猛アピール。さらにはオープン戦トップの10盗塁と脚でもみせている。3月17日のソフトバンク戦では「甲斐キャノン」こと甲斐拓也からも二盗を決めた。昨シーズンは25打席目まで安打が生まれず、一軍の壁に苦しんだが一冬を超えスケールアップを果たしているのだ。
塩見は神奈川県の武相高校出身。ヤクルトファンで知られているタレントの出川哲朗と同じ出身校ということでも取り上げられることも多い。
その武相高校は1960年代に4度、高校野球選手権大会へ出場経験があるものの、1968年を最後に甲子園の舞台からは遠ざかっている古豪である。
プロ野球選手のOBでは星野仙一(元楽天監督)のドラフト時に話題となった島野修(巨人)やパンチ佐藤(本名・佐藤和弘/オリックス)が有名だ。しかし、支配下でのドラフト指名は1989年の佐藤以降誰もいなかった。
そのような状況のなか、塩見は帝京大学、JXーENEOSを経由して2017年ドラフト会議でヤクルトから4位指名を受け、プロへの門を叩いたのである。さらに驚くのが、塩見の同期には井口和朋(日本ハム)も在籍していたことだ。井口は東農大オホーツクを経て塩見より2年早くプロ入りを果たし、主に中継ぎとしてチームに貢献している。
激戦区である神奈川県の高校ではあるが、40年以上甲子園から遠ざかっているチームから同時期に2人のプロ野球選手を輩出するのは珍しい。また、将来のプロ野球選手ふたりを抱えながらも甲子園へ出場できないという、神奈川県のレベルを改めて感じさせてくれる。
今シーズン、ヤクルトと日本ハムの交流戦は札幌ドームで行われる。北の大地で塩見と井口の対決をみることができるだろうか。今から楽しみである。
(記事=勝田聡)