野球のルールを整備するのは「選手」ではなく「大人」!
「投球数制限」、「投球回数の制限」、いや「7イニング制を実施すべき?」などなど。
今、話題となっている高校野球のルールに関するニュースで必ず出てくるのは、「選手(高校球児)の意見も聞くべき」という声です。
しかし、高校野球のルールではなく、野球のルール(公認野球規則)そのものを変えるとき、いちいち高校球児の意見を聞いてやっているでしょうか。MLBやNPBは選手会への提案を行ってルール変更に至ることもありますが、例えば大人の野球でもある社会人野球でもルールを変更する時に選手の声まで聞くことはないでしょう。
実際に毎年、野球のルールは少しずつ変わってきています。ある高校野球の関係者に、「野球ほど毎年毎年ルール改正するスポーツって他にありますかね」と聞かれたことがあります。公認野球規則のはしがき(2017年版)にも、「毎年プロとアマが懸案事項を話し合ってきた、しかし、これで完璧!という規則書はつくられていない。それが野球というスポーツの奥深いところなのだろう」と書かれていました。
野球のルールを整備するのは、整備する側の人間の役割です。高校球児の立場から見れば、大人がルールを整備するということになります。それがルール整備のためのルールです。
少し過剰な表現かもしれませんが、今年1月下旬にU-18ワールドカップが再来年から〝7イニング制になる〟というニュースが出た時、「選手の意見も聞いて決めたのか」と声を挙げた人がいたでしょうか・・・
日本の高校野球だけ新たなルールを作るか否かの時だけ、そういった声が出るのは、それだけ日本の皆さんの心に高校野球が文化として染みついているからとも言えるかもしれません。
ただ、タイブレークの時と同様、今回も高校球児の声を聞くという可能性があることも忘れてはなりません。「投手の障害予防に関する有識者会議」で話し合われるので、まだどうなるかはわかりませんが、日本高等学校野球連盟(日本高野連)の竹中雅彦事務局長は加盟校へのアンケートを実施する可能性があることを話しています。
アンケートを受け取って回答する責任者は加盟校の責任教師(部長)になり、各加盟校として1つずつの意見しか出せませんが、考え方によってはここで球児がまとめて学校としての意見を出すことも可能ではあるのです。チームによっては責任教師と監督など大人だけで一つの意見を出すかもしれません。もし、選手の意見を発信したいと思っている球児がいるのなら、責任教師に申し出ることも一案です。加盟校の責任教師を通して、要望を伝えてもらう。球児が日本高野連に声を届けるのはそれしか方法はありません。
4月からの2019年度は大きな1年になるでしょう。今のうちに各加盟校の球児はミーティングで話し合って部としての考えをまとめて、いざという時に責任教師に伝える準備をすることも一案だと思います。それと同時に責任教師の先生も生徒が申し出てきた時は、大人だけで決めないように心がけておいていただきたいと思います。
もちろん、公立高校は4月に人事異動があるので、今の立場のままという方ばかりではないと思いますが・・・
(文=松倉雄太)