梅野、高橋、ヤクルトに待望の高卒生え抜き投手が出現
昨シーズンの96敗から一転して、セ・リーグの2位が確定したヤクルト。山田哲人、雄平、中村悠平、畠山和洋、川端慎吾と野手陣では生え抜きの高卒プロ入り組が多い。
高卒投手の育成に苦しんだ過去
高校時代の梅野雄吾
一方の投手陣を見ると高卒生え抜きで結果を残しているのは、中継ぎの梅野雄吾ただひとり。エースの小川泰弘、覚醒した原樹理はともに大卒だ。
またリリーフ陣を見ても近藤一樹は高卒だが、生え抜きではない。守護神の石山泰稚は社会人経由である。秋吉亮、大下佑馬、風張蓮、中尾輝らも大卒もしくは社会人出身だ。
高卒生え抜き投手では由規、村中恭平らが一時的に結果を残していたが、ここ数年で実績を残した選手はいない。一般的に高卒生え抜きの投手、とくに左腕の育成はむずかしいとされているが、それにしても寂しい。
確固たる実績を残した高卒の投手は石井一久(現・楽天GM)、五十嵐亮太(現・ソフトバンク)、石井弘寿(現・投手コーチ)らだろうか。いずれの投手も10年以上前のことである。石井一に限っては20年近く前となる。
梅野、高橋のブレイクに期待
高校時代の高橋奎二
しかし、ここにきて楽しみな高卒投手がふたり出現した。ひとりは前述した梅野だ。150キロを超えるストレートを武器に今シーズン後半戦からブレイク。小川淳司監督の信頼も厚く、高卒2年目ながら勝ちパターンの7回を任されるほどだ。来シーズン以降の起用法は白紙だが、五十嵐のように中継ぎとして長く活躍できる投手になることが期待される。
そしてもうひとり。2015年ドラフト3位で入団した「左のライアン」こと高橋奎二である。入団当時からチームの先輩である小川のように高く脚を上げるフォームで注目を浴びていた。しかし、腰への負担もあり現在はフォームを改造。ライアンのような豪快な投球フォームではない。
しかし、大きく振りかぶる仕草は継続中。制球のバラツキも減り、今シーズンは一軍初登板も果たした。現時点で初勝利は挙げていないものの、10回を投げ12奪三振とK/9(1試合あたりどれだけの三振を奪うかを表す指標)は10.8と来シーズンに期待ができる結果を残している。
梅野、高橋ともに今シーズンの経験を生かし、来シーズンに大ブレイクとなることを期待したい。
(記事=勝田聡)