田嶋、山岡らの活躍で高卒社会人の選択肢が増えるか?
第100回全国高校野球選手権大会(以下、夏の甲子園)が終わったことで、今年度の高校野球にもいったんの区切りがつき、各選手達の進路に話題が移ってきた。
夏の甲子園でも注目を浴びた大阪桐蔭の藤原恭大(3年)、根尾昂(3年)、報徳学園の小園海斗(3年)はプロ志望届を出すことが確実。今大会でスター街道に乗った金足農の吉田輝星(3年)は進学かプロかの表明をしてない。今後の動向に注目が集まっている。
卒業後もプレーを続ける選手たちの多くはプロか大学進学を選択する。しかし、ここ数年は大学へ進学せず社会人野球の門を叩き、高卒時よりも評価を上げている選手が増えてきた。
オリックスは2年連続で高卒社会人を1位指名
田嶋大樹(佐野日大→JR東日本→オリックス)
昨年のドラフトではJR東日本の田嶋大樹が2球団から1位指名を受け、抽選でオリックス入りを果たした。田嶋は佐野日大3年時の春のセンバツにおいて、岡本和真(現・巨人)擁する智辯学園に勝利するなどベスト4の実績があった。当然、プロのスカウトも注目していたが、プロ志望届は出さずに社会人入り。その後の3年間で都市対抗野球で結果を残し、結果としてドラフト1位の評価を獲得した。
2016年のドラフトでは東京ガスの山岡泰輔がオリックスに1位指名を受けた。山岡は瀬戸内時代に広島新庄の田口麗斗(現・巨人)と延長再試合で合計24回を投げ合い、無失点に抑えたことで一躍有名になった。また、ダルビッシュ有(現・カブス)からスライダーを絶賛されプロ入りを進められていたが、プロ志望届は出さずに社会人野球の道を選んだのである。
ソフトバンクの中継ぎ陣をはじめ高卒社会人にも実績者は多数
金子千尋(長野商→トヨタ自動車→オリックス)
また今シーズン、ソフトバンクの中継ぎを支え50試合以上に登板している森唯斗(海部→三菱自動車倉敷オーシャンズ)、加治屋蓮(福島→JR九州)、嘉弥真新也(八重山農林→ビッグ開発ベースボールクラブ→JX-ENEOS)の3人はともに高卒社会人でプロ入りを果たしている。高卒社会人トリオが、同時にこれだけの結果を残しているチームはなかなかないだろう。
その他ではオリックスの金子千尋(長野商→トヨタ自動車)、中日の吉見一起(金光大阪→トヨタ自動車)といったエース級の投手たちも高卒社会人の道を選んでいる。このように高卒、大卒に比べると人数は少ないものの、高卒社会人も多くの実績ある選手を輩出しているのだ。
これからの数ヶ月間で各選手たちは監督、両親などと相談し進路を決めることになるだろう。もしかしたら山岡や田嶋に加え、ソフトバンク救援陣の活躍もあり、進学かプロかだけではなく、今まで以上に社会人の選択肢が増えるかもしれない。未来の野球界を担うであろう各選手達の動向に注目したい。
※数字は2018年8月26日終了時点
(文:勝田 聡)