高校野球未経験の和田 康士朗(ロッテ育成)のフルスイングから学べるもの
富山GRNサンダーバーズ時代の和田 康士朗(写真提供:Toyama Thunderbirds)
千葉ロッテ育成枠1位の和田 康士朗が、6日、チーム内で行われたシート打撃で、チーム第1号本塁打を放った。和田は昨年、BCリーグ・富山GRNサンダーバーズに所属し、高卒1年目ながら68試合に出場して、262打数71安打1本塁打14打点14盗塁、打率.271と上々の成績。
さらに50メートル5秒8、遠投107メートルと身体能力抜群。将来性の高さを評価されて、指名に至ったが、和田はほかの選手と比べて異なる点が1つある。なんと高校野球を未経験なままプロ入りしていることだ。
NPB・大学・社会人に所属するほとんどの選手が高校野球を経験しているが、和田は埼玉・小川高時代、硬式野球部に所属せず、陸上部に入部し、走り高跳びの選手として汗を流していた。だが、高校2年生の時、都幾川倶楽部硬式野球団に入団。ここで年上の選手と一緒にプレーしながら走攻守を磨き、一念発起し、BCリーグのトライアウトに受験。見事に合格を決め、その1年後にNPB入りと、他の選手にはないストーリーを歩んでいる。
今回、和田に着目したいのは、ここまで取り上げた異色の経歴ではなく、フルスイングが身上のプレースタイルだ。福岡ソフトバンクの柳田悠岐に憧れ、フォロースルーが豪快なスイングは、強烈な打球を生み出し、個性となっている。
和田のように俊足で身体能力の高さがウリの選手は従来の野球界では出塁率、打率が求められ、アベレージヒッタータイプになることが多い。もちろんその選択肢も悪くないが、全身を目いっぱい使ってフルスイングをして、長距離を求める和田のスタイルはもう1つのスタイルとして注目すべきだろう。
これまでの野球人生で築き上げてきた「和田スタイル」を貫き、どこまでNPBの世界で勝負できるか。今後の活躍は、自分の目指すべき方向性に悩む球児たちへ大きなヒントとなるはずだ。