史上初、甲子園での大学準硬式大会は未来へ 歴史的瞬間は実現ならずも選手たちは笑顔見せる
左から西日本選抜主将・大手美来、近藤みのりさん、東日本選抜主将・中島健輔
大学準硬式野球にとって初めてとなる、甲子園球場を利用する全日本大学準硬式野球東西対抗日本一決定戦甲子園大会(以下、甲子園大会)。歴史的な1日を一目、見ようと、多くの観客が球場に駆け付け、心待ちにしていた。
選手たちも気持ちを高ぶらせて、甲子園で躍動するはずだった。
しかし午前中からの雨が止まず、試合は中止となり、始球式や挨拶のみに変更。2018年より水面下で始動し、4年間待ちわびた瞬間は、残念ながら訪れなかった。
大会ディレクターを務めた杉山 智広さんはもちろん、2022年5月13日、ちょうど半年前に結成されたという学生中心のプロジェクトチーム、そして選手たちは気を落とし、涙する人もいた。
学生委員をまとめた近藤 みのりさん(愛知大=4年)もそのなかの1人だった。
「準備期間は非常に大変でしたし、淡路島に入ってからの調整でも予想外の出来事へ対して、即座に判断することを求められることも多く、本当に大変でした」
夢舞台で、選手たちを全力でサポートするために、開催までの半年で12回ほどミーティングを重ねて準備をしてきたという。想定される出来事への対応はできているつもりだった。
東日本選抜の面々
高校までは野球とのかかわりがなく、自身の人生にとっても初めての甲子園だった。バスの車窓、そして球場入りするまでは「外観に圧倒された」と聖地・甲子園が持つ独特な雰囲気を感じ取りながら、改めて喜びをかみしめていた。だからこそ、予想だにしていないことへ対応ができず、悔しさを感じていた。
近藤さんと同じく4年生である西日本選抜の主将・大手 美来内野手(大阪経済大4年)も「試合を通じて大学準硬式を知ってもらいたかった」とやはり悔しさをにじませるが、続けてこう話した。
「東日本選抜の主将・中島(健輔)くんをはじめ、3回生を中心にして、多くの方に大学準硬式を知ってもらい、いつか満員の観客が見つめる中で、試合をやってもらえればいいなと思います」
西日本選抜の面々
決して断言はできないが、まだ未来がある。今回を最後に大学準硬式が甲子園を使う機会が無くなったわけではない。またいつの日か、甲子園を舞台にした真剣勝負のチャンスが来る可能性はある。大手が話したように、観客が見つめる中で試合が開催されることも考えられるだろう。
その日がいつなのか分からない。しかし、今回選ばれた選手、プロジェクトチームの学生たちはベンチ前まで立つことができた。その景色を見た選手、そして支えてきた学生委員たちが、後輩たちへ忘れることなく伝え続けることが、あと1歩を踏み出すためには必要だ。グラウンドに立つ第一歩、そして大学準硬式にとって歴史的な第一歩は未来に託された。