<文部科学大臣杯第74回全日本大学準硬式野球選手権大会:日本大 10-9 大阪経済大(延長10回)>◇27日◇決勝◇レグザムスタジアム

 第74回全日本大学準硬式野球選手権大会が27日、香川県で開催され、大会連覇を目指した大阪経済大は、決勝戦で日本大の前にあと一歩及ばず、準優勝に終わった。

 試合後のあいさつを終えると、大阪経済大の主将・大手 美来内野手(4年=八戸学院光星出身)は真っ先に日本大の選手たちへ歩み寄り「ありがとう」とさわやかに涙1つ流さず言葉をかけると、そのまま首脳陣のもとへ駆け寄り、あいさつを交わし、熱い握手をしていた。

 最後まで毅然な態度だったが、閉会式の準備中に大手を見ると、大粒の涙を流していた。「大会連覇のプレッシャーはありましたが、それを感じているようでは達成できない」と重圧をはねのける強い気持ちで1年間戦い続けてきたからこそ、悔し涙は自然と流れていた。

 中学時代は生駒ボーイズに所属した。NPBで奮闘するヤクルト・元山 飛優内野手(佐久長聖出身)、ソフトバンク・井上 朋也内野手(花咲徳栄出身)を輩出した強豪チーム。さらに高校では青森の八戸学院光星へ。下級生時からベンチ入りをつかむなど、強豪のなかでも存在感を示していた。

 自分たちの代になった際には、副主将に抜擢されるなど、実力はもちろん、人格面でも首脳陣から期待を寄せられていた。ただ、2年生の秋に、けがの影響で右ひじを手術。今もボルト2本が入った状態だが、最後の1年は思うようなプレーはできずに、夏の大会ではスタンドで率先してチームメイトを応援して、チームに貢献してきた。

 けがも考慮して引退も考えていたが、SNSで大阪経済大の準硬式を知り、準硬式へ進むことを決めた。中学、高校から大事にしてきた突っ込まない打撃、そして状況に応じたスイングを武器に2021年は日本一を経験。最後の1年は主将となり、前年からできた勝つ文化を継承させてきた。

 自身が高校時代に応援に回っていたこと。そして前年のチームを見てきたこともあり「ベンチやスタンドの雰囲気づくりを大事にしている」という。主将という役職を担うにあたって意識したのは、八戸学院光星時代の恩師・仲井監督の教えだった。

「当時、『周りを見て行動できる選手は活躍する』と話をすることがありましたし、野球は隙を突くスポーツです。また関西のチームなので、元気のある選手が多い。だからこそ冷静に周りを見て、ほころびを出さないようにふるまってきました」

 タイムリーが出れば喜びを爆発させることがあったが、あくまで冷静にいることが多かった。逆にベンチに向けて落ち着くように一塁守備からジェスチャーをするなど、日本一をつかむために主将として背中で示し続けた。

「この仲間と出会えたのは良かったですし、学年が上がるたびに考えてできることに面白さがありました。責任や采配を学べて楽しかったです」

 取材が終わるころには、再び冷静さを取り戻し、1つ1つ丁寧に取材に応じてくれた。指揮官の中野監督も太鼓判を押していたが、それも納得できる選手だった。

 この4年間で培ったものを是非、次のステージでも生かしてほしい。