筑波大・橋本剛石

 2022年より始まった体育会ナビカップ関東JUNKOオールスター2022。全5リーグから6チーム(東都のみ2チーム)が2日間で優勝を目指す戦いで、最速148キロ右腕が快投を見せた。

 筑波大の2年生・橋本剛石投手(市立浦和)。セットポジションから滑らかに動き出していくと、程よく右腕を折りたたんでトップまで作ると、最後はスリークォーター気味の高さから鋭く腕を振り抜いていく。この試合は最速141キロを計測するなど、自慢の快速球で2回無失点とチームに勢いを与えた。

 高校時代は偏差値70だという埼玉の進学校・市立浦和でプレーし、2年生の時に埼玉大会ベスト16を経験。当時から140キロ近い球速をマークしていた快速右腕だったが、最終学年の代から腰のケガなどに悩まされ、投手として思うように練習量を重ねることができず、満足するような高校野球をすることができなかった。

 筑波大に現役で合格すると、ケガ防止に加えて、「受験勉強が終わってから、『硬式野球部で頑張るぞ』というほどの熱量は湧かないけど、野球は好きだから継続したいと思っていたところで、準硬式に出会いました」と自身の持つ野球への愛情、そして熱量に見合ったカテゴリーとして準硬式を選択した。

 奮闘を重ねている大学準硬式の生活は「様々な人と交流をすることができ、高校野球にはない面白さを感じています」と充実した日々を送っている。そこには自身も驚いている球速アップによるところも大きいが、それが実現できたのは2つの要素がある。

「瞬発系の能力が引退してから高まったので、瞬間的な爆発力が使えるようになったこと。あとは投球メカニズムを教えてもらえたことが大きいです」

 動作解析を専攻するチームメートから投球メカニズムを教わった。特に「胸郭や肩甲骨から捻る動作をする」ことを学んだことで、腕や肘だけで捻るとき以上に多くの筋肉を使えるようになり、スピードアップにつながったと分析する。

 習慣化させるために、チューブやメディシンボールを活用したドリルで、高校時代から細かくフォームを変更。週3日しか練習ができないため、自主練習でフォームを撮影してチェックしつつ、その撮影内容をSNSで積極的に拡散。「多くの人に見てもらって、アドバイスをもらえればと思っています」と、主体的にアドバイスをもらえるように工夫をしている。

 また、撮影した映像を比較・検証するために、プロ選手の映像もよく見るそうだが、気を付けていることもあるという。

「(ヤクルトの)奥川 恭伸投手(星稜出身)が好きなのでよく見てしまいますが、完璧に真似すればうまくなるわけではないです。柔軟性や筋力が人によって違うので、活躍されている投手をたくさん見て共通する部分を動作解析で理解して、取り入れるようにしています」

 文武両道とともに、指導者がいない大学準硬式だからこそ、「自主性」は学生野球のなかでも強く求められる。橋本は、その自主性を存分に発揮して、148キロまで到達したといっていい。

 高校野球界屈指の激戦区・埼玉でベスト16が最高成績。同世代には高校時代、華々しい活躍をした選手がもっといることを考えれば、橋本は特別な選手ではないだろう。

 しかし、大学準硬式という舞台で、スター選手になりつつある存在であることは紛れもない事実だ。高校時代はスターでなくても、大学準硬式の世界で活躍できるチャンスがあることを、自慢の直球で証明し続けてほしい。