元プロ監督も大絶賛 早稲田大に進学した最速149キロの1年生右腕の現在地
早稲田大・伊藤 樹
19日から始まったセンバツも2回戦がまもなく終了。ついにベスト8が出揃いつつあるが、1年前に甲子園を沸かせた男が、今度は神宮球場に足を踏み入れた。
早稲田大の1年生・伊藤 樹投手(仙台育英出身)。爽快感すらある快速球を中心に、2021年のセンバツを彩った世代トップクラスの投手だった。
4月から、東京六大学の名門・早稲田大の一員としてプレーする。
26日、社会人対抗戦の明治安田生命戦に6番手で登板すると、打者5人に被安打2、四死球1、失点1と悔しい結果に終わったが、この日は最速143キロを計測し、ポテンシャルの高さを見せた。
試合後、取材に応じた小宮山監督は、伊藤の投球に賞賛の言葉を並べた。
「神宮が初めてでしたので、リーグ戦を前に景色を見せようと思っていましたが、球だけ見れば、6人の中では一番でした。投手陣の足りないところを補うことを期待していましたが、それどころか大半を占めつつあると思います」
そして最後には、「今後を見ながらですが、開幕ベンチに入れるつもりです」と明言。早々に伊藤のリーグ戦デビューが見られそうだ。
ここまでの評価を受けている伊藤だが、本人はまだ大学野球に試行錯誤していた。
「とにかく金属バットとの違いを感じています。木製バットになったことで、バットの特性が変わりましたが、そこで感じているギャップに合わせて相手の力量と、自分の能力との間にある違いを埋められていないです」
仙台育英時代、決して木製バットに対して何も考えていなかったわけではない。「木製になることで、芯を外せれば打球は飛ばしにくくなる」と客観的に考えていたという。しかし、その答えは違っていたことを肌で感じ始めている。
「高校と違って体ができているので、芯を外しても飛ばされることを実感しています。だから、考え直す必要があると思っているところです」
あくまで冷静に現状を伊藤は話す。仙台育英の時と変わらない受け答えだが、目標の投手像も仙台育英から変えるつもりはなかった。
「勝てる投手というのは、高校時代から考えていました。そのために球速が速かったり、切れのある変化球も大切ですが、一番は試合で勝てることが大事なので、そこは今後もブラすことなくやっていきたいです」
横で一緒にいた4年生・蛭間 拓哉外野手(浦和学院出身)も「頼もしいですね」と伊藤の立ち振る舞いに一言。期待のルーキーに、先輩も感心しているようだった。
指揮官も先輩も認めつつある期待のルーキー・伊藤 樹は、東京六大学の4年間でどんな投手に成長するのか。勝てる投手を目指す、伊藤の大学野球生活での活躍を楽しみにしたい。