山田 哲人

 ヤクルトのスラッガー・山田 哲人内野手(履正社出身)は、今回のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)代表選手でもNo.1といっていいほどの経験がある。

2014年日米野球
2015年プレミア12
2017年WBC
2018年日米野球
2019年プレミア12
2021年東京五輪
2023年WBC

 侍ジャパンが発足されてからのトップチームには常に山田がいた。もちろん国際大会での活躍も折り紙付きだ。

 2017年のWBCの2次ラウンド・キューバ戦では2本塁打、2019年のプレミア12の決勝の韓国戦でも逆転本塁打。2021年の東京五輪でも最多打点を記録して、MVPを獲得した。今回のWBCでも初打席で適時打を放つなど、勝負強さが武器だ。それも得点圏打率が高いのではなく、「チームの運命を変える勝負強さ」があるといっても過言ではないだろう。

 それは高校時代から現れていた。

 山田世代の大阪といえば、PL学園が本命だった。世代屈指の野手として注目されドラフト上位候補にも挙げられた吉川 大幾内野手(元巨人)、そして世代トップクラスのポテンシャルを持ったスラッガー・勧野 甲輝内野手(元ソフトバンクなど)、140キロ後半の速球を投げ込む多司 将仁投手(日本製鉄鹿島)と、タレント揃いだった。

 そんなPL学園と山田が所属する履正社が対決したのは、4回戦。9回表、5対7で履正社はリードされていたが、山田が同点2点適時打を放ち、延長戦に持ち込むと、履正社がその後勝ち越してPL学園を破った。その夏、甲子園に出場し、次のチームも翌年のセンバツに出場し、ベスト4入りを果たした。

 ここから履正社の黄金期は始まったといえる。そのきっかけを作ったのが山田の同点打だった。運命を変える勝負強さは高校時代から健在で、岡田 龍生監督も今年の取材でも勝負強さを物語るエピソードとして、PL学園戦の同点打を挙げていた。

 2次ラウンドでも大いに期待したい。