NPB史上2人目の両リーグ首位打者・内川聖一が語った、練習への深いこだわり
2022年限りで引退したヤクルト・内川 聖一氏
2022年限りで引退したヤクルト・内川 聖一内野手(大分工出身)。現役生活22年で通算2186安打を積み重ね、通算記録歴代22位の安打数は今季まで現役選手の2位でもある。史上2人目となる両リーグでの首位打者を獲得するなど、名実ともに日本球界を代表するヒットメーカーである。
自身が契約選手を務めたミズノの本社近くにある「MIZUNO ENGINE」にて開催されたブランドアンバサダーズミーティングに出席し、新たな道具に対して目を輝かせていたが、長い野球人生で培った打撃論を語り始めると、表情は職人の顔になった。
「構えや打席の感覚も大事ですけど、毎日同じように発揮できることが最も大事だと思っています。もし構え方だけで、普段より目の位置が1センチでもズレれば、自分の見えているストライクゾーンのズレに直結します。それだけでストライクゾーンの見極めが変わるので、いかに良い状態をキープできるかだと思っていました」
どれだけ元の状態に戻せるか。球界を代表する安打製造機は身振り手振りを交えながら、こだわってきた自論を展開する。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で世界一も経験しているからこそ説得力があり、さらに練習に対するこだわりも明確だ。
「練習は量か質か、という話がありますが、僕はどっちも大事だと思います。練習量で土台となる部分を大きくしてから、質を突き詰めて技術を習得しなければ、思い通り体は動かせない。バッティングの引き出しは少ないと思うんです。だから僕自身、しっかりスイングできるだけの力を付けたら、形を覚えることをやってきました」
実際、「現役の時はオフシーズンでは、練習量というのは意識して取り組んでいました」と本人はオフシーズンの意義と重要性を説いていた。
量もしくは質、とどちらかを選ぶのではなく、優先度をつけて取り組んでいく。練習量で土台を大きくしてから、技術を上乗せすることを続けてきたから、22年間の現役生活で2186安打を積み上げられた。2022年シーズン限りでユニホームを脱いだが、第2の人生でも活躍する姿を心待ちにしたい。