高卒ドラ1捕手は1年目がカギ？DeNA1位松尾汐恩の1年目に注目

大阪桐蔭・松尾 汐恩

　11月27日、DeNAが新入団選手記者発表会を行った。10月に行われたドラフト会議で指名を受けた10人（支配下5人・育成5人）が、それぞれ色紙に所信表明を記し挨拶をした。

　ドラフト1位の松尾 汐恩捕手（大阪桐蔭出身）は、色紙に「必勝」と書き、「ハマの侍」と呼んでほしいと記者団に呼びかけた。

　松尾のポジションは捕手。通常であれば数年をかけて2軍で体を作り、徐々に1軍を目指していく。

　しかし今シーズンは、松川 虎生捕手（市和歌山→ロッテ1位）が、ルーキーながら開幕1軍どころか、スタメンマスクをかぶると、76試合に出場。打率.173（185打数32安打）と苦戦しながらも、1度も2軍に降格することなく1軍で完走した。佐々木朗希投手（大船渡高出身）とのバッテリーで完全試合を達成し、オールスターゲームも出場するなど大きな話題にもなった。

　ドラフト1位指名の超高校級捕手であれば、1年目から1軍で起用され、ある程度の結果を残すことは可能ということだろう。松尾の高校の先輩にもあたる森 友哉捕手（大阪桐蔭→2013年西武1位）も、1年目に41試合の出場で打率.275（80打数22安打）、6本塁打の成績を残した。

　その他の高卒ドラフト1位指名捕手はどうだったのだろうか。2001年以降で振り返ってみると森と松川以外には前田 章宏（中京大中京→2001年中日1位）、白濱 裕太（広島広陵→2003年広島1位）、炭谷 銀仁朗（平安→2005年高校生・西武1位）、荒川 雄太（日本大学高→2005年高校生・ソフトバンク1位）、山下 斐紹（習志野→2010年ソフトバンク1位）、中村 奨成（広島広陵→2017年広島1位）の6人の高卒捕手が1位で指名された。

　このなかで1年目から1軍での出場機会を得たのは炭谷ただひとりだけ。炭谷は開幕戦のスタメンマスクを任されると54試合に出場。シーズントータルで打率.181（138打数25安打）の結果を残した。その後は日本代表に選出されるなど活躍。現在は3球団目となった楽天で主戦捕手として奮闘している。

　一方で前田、白濱、山下、中村、荒川の5人は1軍出場がなかった。通算成績を見ると前田は54試合、19年にわたって現役を続けた白濱は90試合、山下も144試合の1軍出場のみで現役を引退した。

　捕手というポジションがら、1年目から1軍で起用されることは多くない。高卒となればなおさらだ。しかし”2001年以降の高卒ドラ1の捕手”という括りでみると、サンプル数が少ないということもあるが1年目に1軍で出場機会を勝ち取らなければ、その後も1軍に定着することができないケースが多かった。

　松尾は1年目から1軍で出番を勝ち取ることができるだろうか。そのルーキーイヤーに注目したい。

（記事＝勝田 聡）