奥川恭伸の手術検討に思うこと、今後求めたいこと
高校時代の奥川 恭伸
ヤクルトの若きエース・奥川 恭伸投手(星稜出身)の手術検討報道が、大きな反響を生んでいる。高校時代からその快投を見ているものとして、この報道に触れ思うことがあった。さらに今後、奥川が球界に名を残す投手になるために何が必要となるのだろうか。
奥川の例からして、高出力で投げる投手は、管理していてもこうしたリスクは避けられないと実感した。高校時代から常時140キロ後半〜150キロ前後、そしてプロ顔負けの変化球の精度、コントロールを誇る逸材。誰が見ても球団のエース候補になれる人材であり、ドラフト前に多くの解説者が語った「シーズンを投げきる体力があれば、10勝できる人材」と評したのは、大げさでもないと思った。
実際にプロ2年目は18試合で9勝4敗、105回を投げ、91奪三振、防御率3.26をマーク。そして、わずか10四球という数字には恐るべしといわざるを得ない。ドラフト前の期待に応えたといえるだろう。
プロ3年目はローテーション投手として規定投球回に達し、より成績を上げることが期待されていたが、1試合を投げて離脱となった。
3年夏の甲子園3回戦では智辯和歌山(和歌山)戦で延長14回の熱投。星稜(石川)首脳陣も、準々決勝の仙台育英(宮城)戦では登板させず、準決勝の岐阜中京(岐阜)戦でも完投をさせないなど、配慮をしながら、起用していた。
それでも、甲子園4回出場、そして2度の高校日本代表と、世代トップとして投げ続けた。高校生としてはかなり高出力といえる140キロ後半の速球や鋭い変化球は、やはり負荷があったに違いない。
奥川には、しっかりと心身ともに万全な状態になってほしい。ただ1軍で投げるのではなく、複数年で規定投球回に達して投げられるようにすることだ。年間通して投げることができれば、投手タイトルは狙える投球術を持った逸材であることは間違いない。
復活する時まで心待ちにしたい。
(文=河嶋 宗一)