広島の投手では矢崎、野手では末包、中村健がブレーク
トヨタ自動車時代の中村健人
開幕から2ヶ月が過ぎ、セ・パ交流戦が始まった。今シーズンも多くの”新顔”が1軍で結果を残しブレークしようとしている。昨シーズンまでの実績はないものの、今シーズンここまで結果を残しブレークしつつある選手を各球団ごとに振り返ってみたい。
セ・パ交流戦に入ってからやや足踏みしている広島は矢崎拓也投手(慶応義塾高出身)がブレークしつつある。2016年ドラフト1位で指名を受け、慶応義塾大から広島に入団した右腕はここまでの5年間で22試合の登板しかなくわずか1勝。昨シーズンも4試合の登板にとどまり防御率11.57とドラフト1位の期待に応えることができずにいた。
しかし今シーズンは開幕1軍を勝ち取ると、中継ぎとしてここまで13試合に登板し1勝0敗2ホールド、防御率2.20と結果を残している。またビハインドや点差の開いた場面だけでなく、僅差でリードしている試合の終盤を任されることもある。広島は9回の栗林良吏投手(愛知黎明出身)に繋ぐ8回を任せる投手が不在で苦しんでいる。このまま結果を出し続ければ勝ちパターン入りからセットアッパーの座も見えてくる。
野手では末包昇大外野手(高松商出身)と中村健人外野手(中京大中京出身)の新人2人が頑張っている。末包は「7番・右翼」で開幕スタメンを勝ち取ると、その試合で3安打猛打賞をマーク。4月は右翼のレギュラーとして起用されてきた。
5月に入ってから調子を落としたことで交流戦開幕前の5月23日に登録を抹消されてしまった。しかし、ここまで26試合の出場で打率.304(69打数21安打)、2本塁打、14打点は立派な数字。2軍で結果を残すことができれば、再び1軍でチャンスを与えられることだろう。
一方で中村健も開幕1軍入りを勝ち取ったが、序盤での出番はあまりなかった。4月末までにスタメン起用されたのはわずか1試合だけ。しかし末包と入れ替わるように5月に入ってからスタメンでの起用機会が増えた。そのなかでここまで打率.258(62打数16安打)、1本塁打、5打点の成績を残している。
末包も中村健もルーキーとはいえ、ともに大卒社会人出身であり、早い段階での1軍定着が求められている。そのなかで出足はまずまずといったところだろう。また両選手は同じ外野であり主に右翼を任されることからライバルでもある。どちらが先に定位置をつかむのか、争いはまだまだ続く。
<広島の主なブレーク選手>
矢崎拓也(投手/慶応義塾大→2016年1位)
末包昇大(外野手/大阪ガス→2021年6位)
中村健人(外野手/トヨタ自動車→2021年3位)
※数字は2022年6月3日終了時点
(記事=勝田 聡)