ドラ1級のポテンシャルを持った左腕2名、そしてその2名以上の大型左腕を指名した21年の西武ドラフトは歴史的ドラフトになるか
隅田知一郎(波佐見-西日本工業大出身)
西武の昨年のドラフトは大成功だと評価された。4球団の競合の末、交渉権を獲得した隅田 知一郎投手(波佐見ー西日本工業大)の入団に成功したのがまず大きい。数年後には歴史的なドラフトと呼ばれる可能性がある。今回は、左投手3名に絞って紹介していきたい。
隅田は昨年の大学野球選手権・上武大戦で、8回14奪三振の快投を演じた。常時140キロ中盤の速球に、スライダー、カーブ、チェンジアップの変化球の精度が高い。打ちにくい投球フォームで次々と空振りを奪う球質の良い直球を持ち、好投手としての条件がすべて詰まっている。
プロ初のキャンプから好投を続けた。オープン戦ではここまで1試合に登板し5回を投げて6奪三振、無失点と持ち味を発揮し、プロ1年目から新人王を狙える可能性を感じさせる。今まで経験したことがない1シーズン稼働で、どこまで耐えることができるか。それを乗り越えられれば、1年目から10勝前後は期待できるかもしれない。1年目よりも2年目以降に勝ち星を積み重ね、気付いたら球界屈指の左腕へ成長していた。そんな成長路線を期待したい。
2位の佐藤 隼輔投手(仙台高ー筑波大)への期待も高い。21年のシーズン前はドラフト1位候補としての期待も高く、佐藤もドラフト1位でプロにいくと宣言していた。ラストシーズンに脇腹の故障があったとはいえ、その投球内容は隅田にひけをとらないものだった。大学4年間で、150キロ前後の直球をマークするようになり、さらに鋭く落ちるスライダーやカーブなども習得した。1つ1つの精度も高い。
ドラ1のポテンシャルを持った左腕を一挙2投手入団できた。長いドラフトの歴史上を振り返っても快挙として語り継がれるかもしれない。
隅田、佐藤以上のポテンシャルを感じさせるのが、191センチ左腕・羽田 慎之介投手(八王子)だ。外旋気味のパワフルな投球フォームから繰り出す直球は常時140キロ中盤だが、球の威力は大学生左腕にひけをとらない。スライダー、フォーク系の変化球の精度も素晴らしい。最後の夏は登板なしに終わった。まず1年目は体作りからスタートし、長期的に投げられる投球フォームやスタミナを付けていくことになりそうだ。ケガをせず、順調にパワーアップすれば、3、4年後には球界トップクラスの剛速球左腕へ成長するかもしれない。西武の育成力が試される。
これほどの左腕3名を指名できた年は、なかなかない。即戦力としての活躍が期待される隅田、佐藤も、2年目以降に素質を開花させ、長期的に先発、中継ぎとして活躍してほしいと願う。また羽田の育成を成功させれば、かなり高い評価を受けるはずだ。絶対に成功させてほしい。