2年連続投手の新人王輩出の広島、今年は球団初の外野手新人王獲得なるか

森下暢仁（広島）

　春季キャンプも中盤に入り、実戦的な練習が増えてきた。新人を含め1軍での実績のない若手選手たちは、開幕1軍入りをつかむためにも、ここからさらなるアピールが必要になってくる。今シーズン期待のかかる選手たちを各球団ごとに取り上げてみた。

　広島は森下 暢仁投手（大分商出身・2019年1位）、栗林 良吏投手（愛知黎明出身・2021年1位）と、2年連続でドラフト1位の投手が新人王を獲得しているが、今年のドラフト1位も期待できそうだ。

　左腕の黒原 拓未投手（智辯和歌山出身）である。春季キャンプを1軍でスタートさせると順調にメニューを消化。2月15日のシート打撃では打者11人に被安打8、与四球1とほろ苦いデビューとなったが、19日の練習試合（巨人戦）では変わり身を見せた。

　中継ぎとして登板すると八百板 卓丸外野手（聖光学院出身）、大城 卓三捕手（東海大相模出身）、育成の増田 陸内野手（明秀学園日立出身）相手に、3者連続奪三振。直球は150キロを超え、カットボールもさえた。2月27日のオープン戦（日本ハム戦）では1発を浴びたものの、中継ぎとして起用される方針は変わらない。同じ左腕の塹江 敦哉投手（高松北出身）や森浦 大輔投手（天理出身）らとともに、栗林へとつなぐ勝ちパターン入りを目指すことになる。

　先発で起用される見込みの森 翔平投手（鳥取商出身・2021年2位）も1軍キャンプで汗を流した。対外試合のデビュー戦となった2月22日の練習試合（DeNA戦）では3回1失点の内容で、毎回の被安打5ながら与四球は0。37球でまとめた。先発ローテーション候補には入ってくる。

　野手では中村 健人外野手（中京大中京出身・2021年3位）と末包 昇大外野手（高松商出身・2021年6位）の大卒社会人組が結果を残している。中村はここまでの紅白戦と対外試合で2本塁打を記録し外野のレギュラー争いに名乗りを上げた。

　そして末包も2月26日のオープン戦（巨人戦）で待望の1発を放った。ここまで対外試合すべてで4番を任されており、「ポスト鈴木 誠也」の呼び声も高い。一塁と外野の両翼の守備についており、起用の幅が広いのも心強い。

　広島において野手の新人王は2006年の梵 英心が最後。歴代で見てもその他には小早川 毅彦しかいない。梵も小早川も内野手であり、外野手による新人王となれば球団史上初となる。黒原、森、中村、末包の4人の即戦力候補たちは開幕1軍から新人王争いに加わる活躍を見せることができるか。残りのオープン戦で、まずは結果を出したい。

（記事：勝田 聡）