巨人時代の古川 侑利

 日本ハムの「苦労人」が大きなチャンスに挑戦した。日本ハムは6日、シート打撃形式の「紅白戦」を行ったが、白組の1人として登板したのは、背番号116の古川 侑利投手(有田工出身)。昨オフに巨人を戦力外となり、合同トライアウトで149キロの猛烈アピールで日本ハム新庄監督のハートをつかんだ。新庄新体制初の実戦で指名された右腕が、「脱・育成」のスタート地点に挑んだ。

 すべて満塁の場面から打者と対戦する形式。いきなりルーキーの水野 達稀内野手(丸亀城西出身)に左翼越えの適時打を打たれたが、その後はアピールポイントの速球を主体に、打者に対戦した。2人目は二ゴロ、3人目は中前へのポテンヒットになったが、打ち取った当たりだった。4人目以降は中飛、三振、左邪飛に打ち取った。それぞれ満塁の場面だったため、犠飛などにはなったが、打者との対戦という意味では凡打に打ち取っていた。

 有田工時代は3年夏にエースとして、学校創立114年目にして春夏通じて初の甲子園出場を導いた。佐賀大会全5試合47回を投げて47奪三振。甲子園では148キロもマークし、甲子園初陣白星ももたらした。予選から7試合全て投げ切るタフネス右腕ぶりを見せつけていた。それでも楽天、巨人と渡り歩きながら結果を出すことができず、背水の陣で日本ハム育成からのリスタートに挑んでいる。

 育成選手として唯一、1軍キャンプメンバーに選ばれた。もちろん、この日の「紅白戦」で登板した中でも、唯一の3ケタ番号。新庄 剛志BIGBOSSの期待の表れだろう。これからのアピール次第では早期の支配下登録も可能性はある。

 母校・有田工(佐賀)は今センバツ出場を決めた。自分が導いた2013年夏以来の甲子園に挑もうとしている。後輩たちより一足早い「春」を目指し、古川侑はキャンプで右腕を振り続ける。