2021年のドラフト会議でソフトバンクは「世代最速」157キロを誇る風間 球打投手(明桜)を1位で指名した。高卒の投手ということもあり、1年目からすぐに1軍で活躍することは難しい。近年のソフトバンクの育成を見るに、まずは3軍や2軍で体を作り、実戦経験を積んでから数年後の1軍デビューが既定路線となりそうだ。

 ソフトバンク(前身球団含む)が1989(平成元)年以降にドラフト1位で指名した高卒の投手たちには、どのような選手がいたのだろうか。振り返ってみたい。

 平成以降で初めて高卒の投手を1位で獲得したのは1995年の斉藤 和巳投手(南京都出身)だった。斉藤は2年目に1軍デビューを果たすも、登板はわずか1試合のみ。肩の故障もあったことで3年目、4年目もともに1試合の登板だけ。そして迎えた5年目の2000年に22試合(先発16試合)に登板しプロ初勝利を含む5勝を挙げ、開花の兆しを見せる。しかし2001年は7試合、2002年は10試合の登板にとどまり確固たる戦力にはなれずにいた。

 ブレイクしたのは8年目の2003年。初めて規定投球回に到達すると20勝3敗、防御率2.83の活躍で沢村賞を受賞する。そこから4年連続で2桁勝利をマークし、2006年には18勝5敗、防御率1.75、205奪三振の成績を残し2度目の沢村賞を受賞した。2007年は登板間隔を空けながら6勝を挙げたが、右肩の状況は思わしくなく結果的に1軍で登板した最後のシーズンとなった。

 斉藤以降も寺原 隼人投手(日南学園出身・2001年1巡)、岩嵜 翔投手(市立船橋出身・2007年高1巡)、武田 翔太投手(宮崎日大出身・2011年1位)と高卒ドラフト1位で指名した投手は1軍の戦力となった。寺原はタイトルの獲得こそないが先発、中継ぎ両方の役割をこなし303試合で73勝を挙げている。

 岩嵜も初勝利を挙げたのは4年目であり斉藤同様に1軍で結果を出すまでに時間がかかった。先発と中継ぎの役割が定まらない時期もあったが、2017年に完全に中継ぎに専念すると同年、最優秀中継ぎのタイトルを獲得した。その後、故障で停滞するも2021年には48試合に登板し14ホールドを挙げている。人的補償で今年から中日へと移籍することになった。

 武田は1年目からいきなり1軍で結果を出した。11試合の登板で8勝1敗、防御率1.07と圧巻の成績を残す。2年目、3年目は思うような成績を残せなかったものの4年目に13勝、5年目には14勝と階段を登っていく。しかし、以降は2桁勝利を達成できず昨年も12試合の登板で4勝にとどまった。

 松本 裕樹投手(盛岡大附出身・2014年1位)、高橋 純平投手(県立岐阜商出身・2015年1位)は大きな実績はない。しかし松本は先発から中継ぎメインの起用法となった背景はあるものの、2018年から6試合、7試合、25試合、33試合と着実に試合数を増やしている。高橋は2019年に45試合の登板で17ホールドとブレイクしかけた。しかし翌年は1軍登板がなく、昨年も10試合の登板のみとやや足踏みしている。そろそろ結果がほしいところ。

 吉住 晴斗投手(鶴岡東出身・2017年1位)は1軍の登板機会がないまま現役を引退した。

 斉藤や岩嵜は時間をかけて1軍で戦力となり、武田は早い段階から主力となるケースもある。はたして風間はどのような成長曲線を描くのだろうか。金の卵に注目が集まる。

<ソフトバンク高卒ドラフト1位の投手の通算成績>
※1989(平成元)年以降

斉藤 和巳(南京都出身・1995年1位)※すでに現役を引退
150試合(949.2回) 79勝23敗 防御率3.33

寺原 隼人(日南学園出身・2001年1巡)※すでに現役を引退
303試合(1205回) 73勝81敗23S 12H 防御率3.88

江川 智晃宇治山田商出身・2004年1巡)※すでに現役を引退
※プロ入り後に野手へ転向

岩嵜 翔(市立船橋出身・2007年高1巡)※現在は中日
299試合(595回) 30勝33敗11S 96H 防御率3.48

武田 翔太宮崎日大出身・2011年1位)
178試合(932回) 63勝45敗2S 9H 防御率3.33

松本 裕樹盛岡大附出身・2014年1位)
87試合(223.2回) 7勝11敗10H 防御率4.02

高橋 純平県立岐阜商出身・2015年1位)
56試合(65回) 4勝3敗19H 防御率2.63

吉住 晴斗鶴岡東出身・2017年1位)※すでに現役を引退
1軍登板なし

風間 球打明桜・2021年1位)

(記事:勝田 聡)