松坂を追い続けたソフトバンク和田、来季は「アンカー」として松坂を背負って走り抜ける
ソフトバンク和田毅、21年限りで引退した松坂大輔氏
2021年が終わり、ついに1人だけになった。
ソフトバンク和田 毅投手(浜田高出身)は来季、プロ入りして20年目を迎える。誕生日の2月21日がくれば、41歳になる。気づけば、同年代が誰一人としていなくなった。「松坂世代」の代表、西武の松坂 大輔投手(横浜高出身)が21年シーズン限りで引退。和田だけが「松坂世代」で22年シーズンを現役で迎えることになる。
「松坂がいたから、ここまで頑張れた」。そういう和田の気持ちを知ってか知らずか、松坂は引退会見で「僕の分も投げてほしい」と口にした。和田は言われなくても分かっている。
「バトンは重たいですが、松坂世代の思いが詰まっていると思う」
高校時代、和田にとって松坂は「憧れ」だった。甲子園では写真撮影を「お願い」したこともあった。98年甲子園春夏連覇の「怪物」の存在は、和田の「目標」でもあり「励み」だった。早稲田大に進んでプロ入りしたのも、松坂の存在なくては実現しなかったかもしれない。
ダイエー(現ソフトバンク)と西武の先発として競い合った。リーグ戦での対戦はあったが、大舞台で対戦したことがある。2004年のプレーオフ第2ステージ第2戦でともに先発した。結果は和田の完敗だった。チームもプレーオフで敗れた。悔しさしか残らなかった。
ルーキーだった03年は日本一に輝いた。3勝3敗で迎えた日本シリーズ第7戦で完投勝利。胴上げ投手にもなった。そのプライドは引き裂かれた。松坂は越えられない壁でもあったが、だからこそ、その後の活躍につながったともいえる。
和田は松坂のラスト登板を脳裏に焼き付けて、来季マウンドに上る。「託されたものに恥じない姿でいられるように、燃え尽きるまで頑張りたいと思う」。松坂世代のプロ野球選手が走り受け継がれてきたバトン。アンカー和田はそれをしっかりと握りしめ、松坂を始め多くの選手の思いを追い風に来季のシーズンを駆け抜ける。
(記事:浦田 由紀夫)