DeNA歴代高卒ドラ1投手の多くは苦悩、小園の健闘に注目
DeNA1位・小園 健太(市立和歌山)
今シーズンの最下位から巻き返しを狙うDeNAは、10月のドラフト会議で大卒や社会人出身の即戦力候補ではなく、将来性を重視して高卒の小園 健太投手(市和歌山出身)を指名した。2球団の競合となったが抽選の末に交渉権を獲得し入団する運びとなった。背番号は三浦 大輔監督が現役時代に背負っていた「18」が与えられたことからも期待の大きさがうかがいしれる。
DeNA(前身球団含む、以下同)が高卒の投手をドラフト1位で獲得したのは1989年(平元)以降では7人目となり、2011年の北方 悠誠投手(唐津商出身)以来10年ぶりのことでもあった。過去の高卒ドラ1の投手たちはどのような成績を残してきたのか振り返ってみたい。
現時点でもっとも結果を残しているといえるのが、現在は巨人に在籍している山口 俊投手(柳ヶ浦出身・2005年高1位)だ。山口は1年目から1軍で5試合に登板し1勝をマーク。2009年からは主に抑えを任され4年連続で2桁セーブを達成した。2014年からは先発に転向。同年8勝を挙げ、2016年には規定投球回には到達しなかったものの11勝5敗、防御率2.86と結果を残している。
そのオフに国内FA権を行使し巨人へと移籍し2020年にはMLB移籍を果たした。今シーズン途中に巨人へ復帰して、これまで日米通算68勝112セーブをマークしている。そのうち39勝111セーブをDeNAで挙げている。
中継ぎでは左腕の田中 健二朗投手(常葉菊川出身・2007年高1位)が奮闘中。2016年、2017年と2年連続で60試合以上に登板するなど通算216試合に登板している。トミー・ジョン手術を受けた影響で2019年、2020年と2年連続で1軍登板はなかったが、今年3年ぶりに復帰。8試合に登板し4.2回を投げ無失点と結果を出した。
谷口 邦幸投手(町野出身・1997年1位)は42試合、秦 裕二投手(智弁学園出身・2001年1位)は89試合の登板にとどまった。北篤投手(小松工→2006年高1位)は1軍登板がないまま野手に転向。日本ハム、巨人と渡り歩き2017年まで現役を続けた。
北方 悠誠は1軍での登板がなく自由契約となり2014年に退団。同年オフにソフトバンクと育成契約を結んだが、支配下登録を勝ち取ることができず1年で退団した。その後は独立リーグやアメリカのマイナーリーグでプレーし、来シーズンからは九州アジアリーグの福岡北九州フェニックスに選手兼コーチとして入団する。
大きな期待を背負って入団する高卒ドラフト1位の投手たちだが、入団後に残してきた数字は大きく異なっている。小園は果たしてどのような成績を残すのだろうか。5年後、10年後が楽しみだ。
<DeNA高卒ドラフト1位の投手の通算成績>
※前身球団含む
※1989年以降
※2021年終了時点
谷口 邦幸(町野出身・1997年1位)※引退
42試合(107.1回) 4勝10敗 防御率4.19
秦 裕二(智弁学園出身・2001年1位)※引退
89試合(196.1回) 9勝9敗 防御率4.54
山口 俊(柳ヶ浦出身・2005年高1位)※現巨人
[NPB]442試合(1158.2回) 66勝66敗112S、25H 防御率3.36
[MLB]17試合(25.2回) 2勝4敗1H 防御率8.06
北 篤(小松工出身・2006年高1位)※引退
56試合 打率.247(93打数23安打) 2本塁打 4打点
※1軍登板がないまま野手に転向
田中 健二朗(常葉菊川出身・2007年高1位)
216試合(233回) 11勝13敗1S、50H 防御率3.79
北方 悠誠(唐津商出身・2011年1位)※福岡北九州フェニックス
1軍出場なし
小園 健太(市和歌山出身・2021年1位)
(記事:勝田 聡)