阪神村上が9冠達成!元智辯学園右腕がファーム表彰「ジャック」
智辯学園時代の村上 頌樹投手
日本プロ野球機構(NPB)は6日、今年度の表彰選手を発表した。そのなかで、阪神のルーキー村上 頌樹(しょうき)投手(智辯学園ー東洋大)がファーム表彰6部門を受賞した。
優秀選手賞、優秀投手賞、新人賞、技能賞、ビッグホープ賞、期待賞(ウエスタン・リーグのみ)の6部門。努力賞と殊勲賞こそ、同じ阪神の小野寺 暖外野手(京都翔英ー大阪商業大)が受賞したが、8部門中6部門を村上1人で手にした。
村上は智辯学園(奈良)から東洋大を経て、2020年ドラフト5位で阪神に入団した。智辯学園時代の3年春、2016年センバツで決勝戦サヨナラ勝ちという劇的優勝を果たしたが、忘れられない思い出がある。
智辯学園は大会初日の第一試合、いわゆる「開幕戦」で福井工大福井と対戦した。後攻だった智辯学園。大会の始まりを告げる第1球は、智辯学園のエース村上が投じていた。そして、大会の終わりを告げる決勝戦のラストは、自らのバットでのサヨナラ打だった。自分が投げて大会が始まり、自分が打って大会が終わった。初戦から決勝までの5試合を完投。669球投げ切って3失点、防御率0.38の驚異的な数字をマークした。まさに大会の「主演男優」だった。
高松商(香川)との決勝戦で、センター超えのサヨナラ打を放った背番号1を記者席から見ていて鳥肌が立ったものだ。この「不思議な運」はいつか花咲くと思った。
プロ1年目、一軍では2試合登板で0勝1敗、防御率16.88の成績だが、ウエスタン・リーグでは17試合を投げて、10勝1敗、勝率.909。84.2回を投げ75奪三振23四球(0死球)、防御率2.23。ファームの「最多勝利投手賞」「勝率第1位投手賞」「最優秀防御率賞」の「3冠」を達成した。本人からすればファーム成績なので、誇らしくはないだろうが、冒頭の6部門表彰と合わせて「9冠」を手にした。
投手力が安定している阪神だけに、1軍での争いも簡単ではないだろうが、「不思議な運」の持ち主でもあり、来年の今頃、新人王候補に名が挙がっていることを期待したい。
(記事:浦田 由紀夫)