オリックス山本を苦しめられるか、ヤクルトの執念の粘り
オリックス山本由伸
日本シリーズが最終決戦の局面を迎えた。5戦が終わって対戦成績はヤクルトの3勝2敗。27日からは神戸に舞台を移して第6戦が行われる。
25日の勝利インタビューで、オリックス中嶋監督は第6戦の先発が 山本 由伸投手(都城高出身)だと明言した。第1戦で6回1失点の好投を見せ、チームのサヨナラ勝ちにつなげた。投手「5冠」のタイトルに加え、沢村賞という称号がついてから初めてのマウンドになる。オリックスを支える大エースが、逆王手をかけてヤクルトに立ち向かう。
第1戦を振り返って、日本シリーズ2度目となるヤクルト打線との対決でポイントになる部分を探ってみた。
先発6回5安打1失点(1自責点)、打者25人、112球、9奪三振、2四球。これが初戦の山本の内容だった。気になるのは投球数の6回112球。普通の投手であれば気にならない数字だが、山本となると少し変わってくる。
今季、山本が投げた試合で、1イニングの平均投球数を調べてみた。26試合中、最少だったのは、4月28日楽天戦で0対0の引き分けとなった試合の9回96球無失点、1イニング10.7球だった。最多は10月16日日本ハム戦で6回116球1失点、1イニング平均19.3球。日本シリーズ初戦は6回112球で、1イニング18.7だった。この数字は今季ワースト4位に当たる。山本にすれば、日本シリーズ初戦、初登板の緊張もあっただろうが、やはり球数を投げさせられていたことになる。
ヤクルトは明らかに粘っていた。山本だけでなく、オリックスの先発投手には球数を多く投げさせようとしている。5戦までに互いの全投手の投球数を単純に比較すると、ヤクルト投手陣の684球に対して、オリックス投手陣は743球を投げている。イニングでいえば、東京ドームで勝利した2試合でヤクルトに9回の裏の攻撃がなかった。オリックス投手陣が2イニング分少ない条件ながら、ヤクルト投手陣より多く投げさせられている。
山本は初戦で6回を投げ、アウト18個を奪ったが、アウトにした打ち取った球種で一番多いのがフォークだった。半分の9アウトをこのフォークで奪っている。ヤクルトはこの球にどう対処するのか。逆に山本は2度目の対戦でどう配球するのか。
山本を打ち崩せばヤクルトが日本一だが、山本で勝てばオリックスが連勝して日本一になるような気がしてならない。エースの出来がすべてを決める。