選抜優勝校に、初出場の新鋭!2019年の愛知を彩った高校野球3大ニュース
平成は東邦で始まり東邦で締めた
東邦・石川 共同通信
平成最後の甲子園大会となった第91回選抜高校野球大会で、愛知代表の東邦が優勝を果たした。
東邦としては、平成元年となった1989年の第61回大会以来の優勝ということになった。そんなこともあって、「平成の高校野球は東邦で始まり、東邦で締めくくった」とも言われて称えられた。
この年の東邦は、秋季大会の段階から前評判は高かったが、東海大会準決勝で中京学院大中京につけられた5点差を9回に追いついて、10回に再度リードされながらも逆転サヨナラ勝ちするなど、勝負強さを示していた。
それだけに大会での躍進が期待されたが、初戦の21世紀枠代表校の富岡西には苦しんで3対1で辛勝。
二回戦の広島広陵には12対2で大勝。これで勢いづいて準々決勝は筑陽学園に7対2。準決勝では曲者ぞろいと言われていた明石商に対しても落ち着いた試合運びで4対2と快勝。
エース石川昂弥投手も8回に2ランこそ浴びたものの5安打で完投した。この勝利は愛知県勢としては春夏通算の300勝ということにもなった。
そして迎えた決勝でも、習志野を圧倒。6対0で快勝した。
こうして、センバツの優勝回数としては5回目と歴代最多。センバツの通算勝利数も中京大中京の55勝を抜いて56勝と最多となった。
これで改めて「春の東邦」の強さを示しながら平成の高校野球を締めた。
石川選手は決勝で2本塁打も放ち大会通算3本塁打。投げても5安打完封。投打に図抜けたところを示した。
令和最初の愛知代表は
誉ナイン
令和最初の愛知代表は、尾張地区の新鋭・誉が果たし、甲子園では選手宣誓も務めた。
センバツで東邦が優勝した愛知県だったが、夏の愛知大会は混戦状態となり、決勝は名古屋市内勢がいない顔合わせで、これは2001(平成13)年の弥富(現愛知黎明)と豊田西が争った年以来のこととなった。
尾張地区の誉と東三河地区の愛知桜丘という対戦は、誉が悲願の初優勝を果たして、春夏通じて初めての甲子園出場を果たした。
混戦となった要因の一つとしては、センバツ優勝校で絶対的本命とされていた東邦が、序盤で星城に敗退したことに始まっていた。
そこで、一躍星城にスポットが当たってきたのだが、その星城は享栄も下してベスト8まで進出したものの、誉に敗れた。
誉は準決勝では2対8くらいの比で不利と言われていた中京大中京に5対4で勝利。この勢いで決勝も愛知桜丘を下した。
そして、初の甲子園では林山侑樹主将が選手宣誓を引き当てるとともに開幕試合にもなった。
あまりにもメモリアル過ぎた初甲子園は、いきなり八戸学院光星に満塁弾を浴びるなどで9対0で完敗。全国の壁を痛感させられた。
実は、混戦の予兆は実は春季大会から表れており、センバツ帰りの東邦を中部大一が下してさらに西尾東、中京大中京などを下して優勝。
準優勝も愛知黎明で、いわゆる名古屋市内の私学4強ではない弥富市と日進市の対決となっていたのだ。春、夏ともに決勝に名古屋市勢がいないというのは極めて珍しい現象でもあった。
[page_break: 復活ユニフォームの中京大中京]復活ユニフォームの中京大中京
中京大中京
この年の愛知高校野球の話題の一つに、全国一の甲子園勝利数と優勝回数を誇る中京大中京が、夏の大会を前にユニフォームのデザインを2009年に全国制覇を果たした当時のものから変更したことが挙げられる。
かつて1966(昭和41)年に春夏連覇した当時に近い立て襟でブロック体で「CHUKYO」と表記され、紺地に白の3本線のストッキングというものに戻したのだった。
この復活デザインで令和最初の甲子園に登場するのかと思われたが、準決勝で敗退。
翌春に持ち越されることになったが、秋季大会は県大会で圧倒し、東海地区大会も食い下がり県岐阜商を振り切っての優勝。まずは、明治神宮大会出場で復活ユニフォームを全国に示した。
そして、その明治神宮大会でも強さを示した。
準決勝の天理戦では、終始先行されつつも、8回に逆転。4本塁打を浴びながらも、9回同点に追いつかれたその裏、1点を取り切ってサヨナラ勝ち。
決勝でも勢いのある健大高崎に一旦はリードされながらもすぐに逆転。復活の新ユニフォームで、新しい歴史を築いた。そして、令和最初の明治神宮大会に昭和の強豪が見事に優勝を果たして、改めて名門健在を示した。
以上を2019年愛知県高校野球3大ニュースとして挙げてみたのだが、他にもそれに関連した話題は多かった。
《星城旋風、ベスト8で止まる》
豊田西で実績を作った平林宏監督が就任して5年目の星城。いよいよ平林イズムも浸透してきて、新勢力として東邦や享栄を下すなど大健闘。
《愛工大名電に1年生エースが夏の舞台で颯爽とデビュー》
選手層の厚い愛工大名電にあって、入学早々の1年生左腕田村俊介君が、夏の愛知大会から背番号1をつけての登場。颯爽とデビューしてメディアを賑わせた。
《私学4強に割って入る勢いの至学館、今後は新たに私学5強を形成か》
グラウンドのない環境で、大勢の部員たちが切磋琢磨しあっていた至学館。そこへ一昨年グラウンドが完成。
野球スタイルも少し変化させながら、この夏もベスト4まで進出。名古屋市の新たな勢力として躍進した。
いずれにしても、2020年の愛知県球界の躍動が今から待ち遠しい。
(文=手束 仁)
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